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クイーンメーカーのCinemanのレビュー・感想・評価

クイーンメーカー(2023年製作のドラマ)
3.0
「クイーンメーカー」全11話
オ・ジンソ監督
2023年 韓国

鑑賞日:2023年9月24日 Netflix

2023年4月から配信が開始された全11話の韓国ドラマ。
某大企業で働く女性戦略企画室長は大衆の心を掴む天才的な切れ者だ。
自社の会長とその家族を守るためには手段を選ばずあらゆる手口を使って難関を乗り越えてきた。
その彼女がしぶとい草の根運動で大衆から支持されている女性人権弁護士をソウル市長にするために乗り出し選挙戦で恩人の会長と戦うことになった。

物語の展開が波乱万丈で性格も仕事も水と油の対象的なヒロインを演じる二人の女優の存在感と見事な演技。
そしてスピーディーで説得力のある演出に乗せられて第一話から身を乗り出して観てしまった。
このところ面白い韓流ドラマに出会わなかったのでこれは嬉しい。
とにかく文句なく面白い。
毎回1時間半があっという間に過ぎてしまう。

【物語の概要】
大企業ウンソングループの未来戦略企画室室長ファン・ドヒ(キム・ヒエ)は会長の次女でグループの常務であるウン・チェリョン(キム・セビョク)がタクシー運転手や取引先相手に対して度重なる暴言を吐いたことでマスコミにスクープとしてとりあげられ脅迫罪やら侮辱罪などさまざまな罪の容疑に問われ、
大衆からは辞職を求められているトラブルの対応に追われていた。

チェリョンは真っ黒な服を着て報道陣の前でカメラに向かって深々と頭を下げたが報道陣からは辛辣な質問が続き大衆からはブーイングの声がたかまり卵を投げつける者もいた。
ドヒは会場から去るときにヒールの片方を落としてしまう。

しかしこの大炎上した記者会見はすべてドヒが仕組んだ茶番だった。
報道陣の前に立ったチェリョンの着ていた服やドヒが落としたヒールは国内未発売の注目品。
大炎上していた大衆の興味の矛先は一転してその新製品へと向いてしまう。
人の噂も七十五日!
新商品は爆発的な売上を上げた。

チェリョンに卵を投げつけた女ももちろん仕込。

どんな厳しい局面にたたされても冷静な判断で大衆心理をたくみに操って事態を好転させてしまうドヒに会長も一族も会社もどれだけ助けられているか。
今回の騒動もドヒの機転により大衆の批判の眼差しはいつのまにか警察に向けられることに・・・。
ウィルソングループは世界的にも有名な超一流企業。
一流大学卒の超エリートでなければ入社できないほどの大企業だ。
そんな会社で貧しい育ちで一流大学卒でもないドヒが未来戦略企画室室長にまで上り詰めることができたのは何年も前のあることがきっかけとなっている。
ウィルソングループで絶大な権力を持つ会長ソン・ヨンシム(ソ・イスク)は何年も前のあることでドヒの献身ぶりに感銘を受けて以来全面的に彼女に信頼を寄せるようになっている。

大炎上した記者会見後一人の青年がドヒが落としたハイヒールを届けに来た。
その青年はハイヒールとともにある映像データをチェリョンに渡してほしいとドヒに頼みます。
それはウンソングループの経営するデパートの屋上でデパートの女性従業員を一斉解雇したことを不正解雇だと訴えている女弁護士の映像だった。
デパートの屋上にテントを張ってニカ月近くも生活しながら不正解雇を訴え続けているのは労働人権弁護士のギョンスク(ムン・ソリ)。

ギョンスクのしぶとい訴えが火種となり大勢の民衆が街中でデモを始めた。
ドヒはギョンスクに立ち退きを命じに行くのですが物語は思わぬ展開へと発展し水と油の性格をもった彼女たちは共闘することになる。

【Trivia & Topics】
*面白いドラマとは。
思いもつかない物語、役者たちの説得力のある演技力、エネルギッシュでシャープな語り口調で観客を画面に引きずり込む監督の力技。
面白いドラマに必要な要素をすべてクリアーしているのが本作です。

*ヒロインの二人。
・未来戦略企画室室長ファン・ドヒを演じたキム・ヒエ。
1967年生まれ。高校在学中にファッションモデルとして芸能活動を始めた。
2020年に出演したドラマ「夫婦の世界」が韓国ケーブルテレビ史上最高視聴率28,4%を記録し彼女は第56回百想芸術大賞(韓国版ゴールデングローブ賞)TV部門女性最優秀演技賞受賞。
受賞後初の作品が本作だ。
https://filmarks.com/dramas/9135/12986

・人権弁護士オ・ギョンスクを演じたムン・ソリ。
1974年生まれ。イ・チャンドン監督の『ペパーミント・キャンディー』(1999)でデビューしカンヌ国際映画祭で喝采を浴びる。その後同監督の『オアシス』(2002)で脳性麻痺のヒロインと演じて第59回ヴェネツィア国際映画祭で韓国女優では史上二番目のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)受賞。
https://filmarks.com/movies/30331

二人の韓国を代表する大女優の演技の素晴らしさに支えられた作品ですが共演者したソ・イスク、ユン・ジヘ、キム・セビョク、チン・ギョンなど女優陣がほれぼれするほど見事でした。

【5 star rating】
☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。
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