Brynhildr38

THE BRIDGE/ブリッジ シーズン1のBrynhildr38のレビュー・感想・評価

THE BRIDGE/ブリッジ シーズン1(2013年製作のドラマ)
4.0
見応えあり。
スウェーデンとデンマークを繋ぐオーレスン橋で45秒間の停電が発生。そのわずかな時間で、国境に死体が置かれるという事件から連続殺人が始まる。犯人は世の中の不平等を訴える犯行声明を出し、両国の刑事がコンビを組み捜査を進めていく。全10話。

人気が出たのでアメリカやイギリスでもリメイクされていて、イギリス・フランス版はタイトルが「The Tunnel/トンネル」。イギリスとフランスを繋ぐ橋は無いそうで。

このドラマは、北欧ノワールのおすすめに必ずと言っていいほどラインナップされますが、噂通り第一話から引き込まれます。凄惨な事件発生、癖のあるキャラクターの登場、興味深いプロットとクリフハンガーで、観る側を物語の世界にぐいぐいと。

ただ、北欧ノワールあるあるで、ドラマの雰囲気が暗い。晴れていても空が暗い。昼でも暗い。事件の陰鬱さや、寒さ、社会の閉塞感を淡々と見せてくれます。しかもキャストの衣装もくすんだ色合いばかりで、美男美女も出てこない。

このドラマの最大の魅力は、サーガとマーティン二人のキャラクターでしょう。サーガは刑事として有能ですが、アスペルガー症候群と思われ空気読めず、ルール厳守、ピュアで思ったことをそのまま口に出してしまい、人付き合いが苦手。マーティンは社交的で人情家、倫理観は緩く清濁併せ呑むタイプ。得意のコミュ能力が通じないサーガに初めは戸惑うものの、すぐにサーガの刑事としての優秀さを見抜き、孤独な彼女に寄り添い続けます。

最初はサーガのキャラがありきたりで魅力的と思えず好きになれませんでしたが、途中マーティンのおかげで変わろうとする彼女にほっこりし、最終話を見る頃にはマーティンに対して「おまえ、ゆるすぎだろ!(呆)」となりました。

デンマーク、スウェーデンと言えば、社会保障が充実し、貧困格差が少なく、個人の自由度や政府に対する信頼度が高いイメージですが、ドラマの描かれ方を見る限りなかなかハードな環境と言わざるを得ません。DV、ドラッグ、法の不平等、ホームレス、精神疾患、移民問題、子供への搾取、家出、浮気、不倫などなど、日本の方が良く見えます。

主なキャストについて
スウェーデン・マルメ県警の刑事サーガ・ノレーンを演じたのは、ソフィア・ヘリーン。演技とは思えないような表情を見せてくれます。
デンマーク・コペンハーゲン警察の刑事で、ハゲでずんぐりしたオヤジだがバツ2で3人目の妻がいるマーティン・ローデを演じたのは、キム・ボドゥニア。wikiによるとデンマークで最も大成した俳優で、撮影当時48歳!!もっとオヤジに見える。

一話完結よりも、じっくりと事件を追うサスペンス好きの方に超オススメ。(なお、子供との鑑賞は不向きです) 
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