無知とは罪である。
2011年3月11日、東京から225キロにある福島第一原発を高さ15メートルの大津波が襲った事により、波に飲まれた4基の原子炉は冷却機能を失い、暴走を始めてしまうと言う事故を題材にしたドラマ。
この作品は、福島第一原発事故を克明に描いている。リアリティを追求し現場、政府、会社組織の視点による重層的な構成の物語は、必見。
ただし、パニック系のエンタメ作品を楽しみたい人には不向き。
当時、ニュースを食い入るように見ていたが、その深刻さが全くわかってなかった。
キャストについて。
現場の責任者で実在の人物である吉田所長を演じるのは、カンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所広司。感情を抑えた演技で未曾有の困難に立ち向かう姿には心を打たれる。と同時に、もし自分がその立場だったらとか、まったく心配する必要のない「重圧」「恐怖」に身を震わせてしまう。
内閣総理大臣の東を演じるのは、いつもは軽くとぼけた演技を魅せる小日向文世。なんとか事態を収束させようと気持ちだけが空回りしている姿を上手く演じている。遅咲きで40過ぎてから超売れっ子になったのは伊達じゃない。
間違ったのは誰なのか？
東電自身は、想定を上回る津波は来ないと言う危機感不足を上げているが、千年に一度起きるかどうかのリスクに備えよと言うのも・・・、いずれにしても「完璧な対策」などはなく、確かなことは、人の記憶は移ろいやすいと言うこと。
その記憶を風化させないために、このドラマを見続けるべきと思う。
