【 いい映画には、いい風景がある 】
瀬戸内海に大小の島々が並んでいるなかに大三島(愛媛)という島がある。大学のとき、映画研究会の夏合宿はいつもそこで過ごして、海岸で8mm映画を撮っていた。懐かしい多島美(たとうび)の風景…
この映画は大三島より少し大きい江田島や蒲刈町で撮影されて、全編にわたり多島美の魅力をしっかり映し出していて感動。
ともに心に傷を抱えたふたり
家族を亡くした漁師の憲二(東出昌大)
教師を挫折してしまった凛子(三浦透子)
見守るおとなたち
凛子の父繁三(小林薫)
小料理屋のマキ(浅田美代子)
憲二の義父(堀部圭亮)
ドラマの筋書きも登場人物のキャラクターも、既視感のあるものばかりだけど、過剰な説明や演出もないし、台詞も少ないのに、感情を揺さぶられる。黄色い風船は小道具として最高の働きをしていたし。
美しい風景と、
シンプルなストーリー、
それで十分な魅力がある作品。
音楽:古屋沙樹
音楽プロデューサー:菊地智敦
穏やかな、ピアノやアコースティックギターによる古屋沙樹のスコアが風景にぴったり寄り添っていて良かった。