Benitoさんの映画レビュー・感想・評価

Benito

Benito

さんかく(2010年製作の映画)

3.7

【 斬新な吉田恵輔の脚本、演出 】

吉田監督は鬼才塚本晋也監督・主演の「バレット・バレエ」(1999年)で照明技師を務め、その後自主制作で2006年にデビューし、本作は2010年の日活配給作品。今回
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メリちん(2006年製作の映画)

2.8

【 残酷なまでの寒々しい人間関係 】

強烈でトラウマになった「空白」の吉田恵輔が自主製作時代に手掛けた作品。良くも悪くもインディペンデントな質感。

タイトルの意味は、ラストに判明する。

いじめっ
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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

3.8

【 彼らを忘れない、彼らは生きていた 】

第一次世界大戦
 1914年(大正3年)7月28日〜
 1918年(大正7年)11月11日
 兵士900万人以上、市民700万人以上の犠牲者を出した史上最悪
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愛欲のプロヴァンス(2017年製作の映画)

3.9

【 プロヴァンス、恋人の面影 】

原題:Provenance
"芸術作品などの起源、出目"

イギリス映画だけど、舞台はフランスのプロヴァンス(Provence)。タイトル(Provenance)
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嘆きのピエタ(2012年製作の映画)

3.0

【 異端児そして孤高の監督ギドクのピエタ 】

第69回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した本作。そのとき審査員長だったのは映画監督のマイケル・マン。彼にはキム・ギドク監督のテイストがハマったの
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人間の時間(2018年製作の映画)

2.0

【 キム・ギドクが遺した奇想天外衝撃作品 】

藤井美菜、オダギリ・ジョー、チャン・グンソク、アン・ソンギなど日韓俳優を揃えたところに鬼才キム・ギドク監督がとんでもない醜悪なクルーズ客船サバイバルをテ
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憲兵と幽霊(1958年製作の映画)

3.7

【 冷血、狡猾、でも美しい天知茂 】

映画の前半、結婚式の席に招かれた天知茂が新婦を見る鋭い眼つき、そしてカメラワークが凄い。ヴィスコンティの映画に出てくる色気のある俳優にも負けない存在感で、冷酷な
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夜の女たち(1948年製作の映画)

3.8

【 戦後間もない夜の闇を描いた溝口健二 】

ベートーヴェン「運命」風のテーマが導入部で流れて始まる。

戦後間もない生活苦から夜の闇に堕ちていった女性たちが、混沌とした時代を必死に生き抜いていく米軍
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ルーム(2015年製作の映画)

3.7

【 衝撃的で、そして悲しい家族の物語 】

何故、こんな見るに忍びない映画が作られたのか、と。

それは、実話となるオーストリアの'フリッツル事件' (Fritzl case)という2008年4月に発
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Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)

5.0

【 教授のあくなき音楽探求の旅 】

教授が2023年3月28日に永眠されて1年。

2024年3月19日、ヤマハ銀座店で開催されていた教授が長年愛用された楽器との軌跡をたどる「坂本龍一のピアノ展:2
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ストリート・オブ・クロコダイル(1986年製作の映画)

4.0

【 圧倒される幻想的なクエイ兄弟ワールド 】

スティーブン・クエイとティモシー・クエイ兄弟の代表的作品。

本作でコマ撮りしたストップモーションアニメの被写体となったのは、朽ち果て汚れた人形、ネジ、
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(1990年製作の映画)

3.7

【 朽ちた人形の生きる世界に彷徨う... 】

ベッドに横たわる女性
朽ちた人形の生きる世界
女性が見る夢の世界は
人形と連動しているよう

夢のなか、彷徨っている不思議な空気感

クエイ・ブラザーズ
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イン・アブセンティア(2000年製作の映画)

3.6

【 精神病院の最上階の部屋から… 】

クエイ兄弟がBBCから委託され製作した短編。ドイツの現代音楽の作曲家カールハインツ・シュトックハウゼンとのコラボレーション。映像化の背景を知ると作品の意味が驚く
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クエイ(原題)(2015年製作の映画)

3.5

【 ノーランが覗いたクエイ兄弟の工房 】

アメリカ人一卵性双生児でカルト的な人気と影響力を持つストップモーションアニメーターのスティーブン&ティモシー・クエイ兄弟。

クリストファー・ノーランは、2
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Doodlebug(1997年製作の映画)

3.5

【 ノーランによる3分間の心理スリラー映画 】

クリストファー・ノーラン、当時27歳。
脚本、監督、撮影、編集を担当。
16mmフィルムで撮影された白黒映画。 

これが後に製作されるノーラン長編映
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Tarantella(原題)(1989年製作の映画)

3.5

【 発掘されたノーランの4分の短編映画 】

クリストファー・ノーランの監督デビュー短編映画。当時19歳。

WTTW(チャンネル11)というアメリカ・シカゴにあるテレビ局にて一度だけ放送された作品ら
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ALONE アローン(2016年製作の映画)

3.3

【 砂漠の地雷を踏んでしまったら、、 】

暗殺任務に失敗したアメリカ兵士ふたり。
なんとか地雷原に逃げてくるのだけど、、
タイトルからして嫌な予感。
そして、やっぱり相棒は吹き飛ぶ、、

サバイバル
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銃2020(2020年製作の映画)

3.3

【 登場人物全員が狂っている映画 】

出演者のキャラ&ビジュアルが強烈
・ゴミ部屋に住む日南響子
・闇社会に生きる佐藤浩市
・執拗なストーカーの加藤雅也
・チンピラ刑事の吹越満
・精神を病んだ母親の
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ナワリヌイ(2022年製作の映画)

4.0

【諦めるなロシア国民、頑張れユリア!!】

アレクセイ・ナワリヌイ
1976年6月4日 - 2024年2月16日
ロシア人の民主活動家で弁護士
妻と1女1男を残し、47歳で亡くなった

そして、このド
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アメリカが最も恐れた男 "プーチン"(2018年製作の映画)

3.0

【 いじめられっ子が残酷な独裁者になるまで 】

2018年のドキュメンタリー作品。

反プーチン派の米国による製作とはいえ、これまでのプーチン政権の行動から判断するにかなり真実に近いと思わせる内容。
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ボス・ベイビー ファミリー・ミッション(2021年製作の映画)

3.5

【 エンタメ色溢れるハートフルなアニメ 】

ドリームワークス3Dアニメ作品。
いい意味で、同じことの繰り返し。
でも兄弟ドラマに加えて、親子ドラマも加わって、家族で繋がりが広がってる。

「ボス・ベ
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とべない風船(2022年製作の映画)

4.1

【 いい映画には、いい風景がある 】

瀬戸内海に大小の島々が並んでいるなかに大三島(愛媛)という島がある。大学のとき、映画研究会の夏合宿はいつもそこで過ごして、海岸で8mm映画を撮っていた。懐かしい
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天才たちの頭の中~世界を面白くする107のヒント~(2019年製作の映画)

3.5

【 怒涛の88分、107人のメッセージ 】

様々なアーチストの頭の中を覗くことは出来るドキュメント。

そもそも一線にいるアーチストに“Why are you creative?”あなたはなぜクリエ
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10人の泥棒たち(2012年製作の映画)

3.9

【 アジアの華麗なる泥棒たちが大暴れ 】

世界に1つしかないダイヤ '太陽の涙'をアジア最強の10人の泥棒たちが集まってカジノの金庫から強奪しようとする話。

舞台は韓国、香港、マカオ
前半のスタイ
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ベロニカとの記憶(2017年製作の映画)

4.0

【 過去の思い出は、都合よく装飾される 】

・舞台はロンドン 
・年金生活を送るバツイチ老人
・見知らぬ弁護士からの1通の手紙
・奇妙な遺品、それは手紙
・自殺した親友
・初恋の女性の記憶、そして彼
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宇宙大怪獣ドゴラ(1964年製作の映画)

3.0

【 怪獣? の出番が少ない異色特撮映画 】

「宇宙怪獣ガメラ」ならぬ「宇宙大怪獣ドゴラ」、どんな凄い着ぐるみの怪獣が現れると思ったのだけど…

本多猪四郎(監督)と円谷英二(特技監督)の組んだ特撮映
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ダンケルク(2017年製作の映画)

4.2

【 究極のシンプルさで描くサスペンス映画 】

典型的な戦争映画じゃない
サバイバルサスペンス映画

ノーラン作品には珍しく、上映時間が短く
単純なストーリーでセリフも少ない…

1940年、第2次世
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ハード・プレイ(1992年製作の映画)

4.0

【 職人ロン・シェルトン、今回はバスケ 】

舞台はL.A.ヴェニス・ビーチ。
賭けストリート・バスケットで日銭を稼ぐ白人と黒人が一獲千金を夢見て奮闘するスポーツ・コメディドラマ。

監督:ロン・シェ
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獣道(2017年製作の映画)

3.8

【 黒い青春、けものみちに生きる若者たち 】

暴力、虐待、少年犯罪、風俗、宗教
そんな題材が混沌と存在している映画

そこに登場する若者たちは
まさに逆境・獣道を生きているのだけど
それぞれが不思議
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タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

3.0

【 彼女たちのアンバランスな関係が崩れるまで 】

雑居ビルの4階
微妙な趣味の内装の部屋
女性たちが肩を寄せ合って客を待つ

伊藤沙莉の衝撃的な冒頭シーン
でも彼女が主役でもない群像劇
山田佳奈監督
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静かなるドン 後編(2023年製作の映画)

3.3

【 令和の時代の新たなアウトローの決断 】

前編から、後編に入ると空気はかなり重くなってきた。

抗争で組長の坂本(寺島進)が死んだ鬼州組内部で次期組長の座を巡って陰謀や裏切りで大混乱。若頭の沢木で
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静かなるドン 前編(2023年製作の映画)

3.7

【 令和の時代の新たなアウトローの登場 】

伊藤健太郎が演じた静かなるドン(近藤静也)、この令和版は少し新鮮。ヤクザだけでなく、半グレが絡んできたりする。そしてシリアス・ハードな部分ととぼけたような
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海を駆ける(2018年製作の映画)

4.0

【 不思議な感覚に陥る、癒しの物語 】

日本・フランス・インドネシア合作作品。

この映画は、2004年12月26日の地震と津波で16万人以上の死者・行方不明者をだしたインドネシア・スマトラ島のバン
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8月のアチェでアリさんと話す(2017年製作の映画)

3.0

【映画 「海を駆ける」と繋がる作品 】

深田監督がディーン・フジオカを主演に撮った映画「海を駆ける」に紐付いているドキュメンタリー短編作品。

2004年の大震災による津波で被害を受けたインドネシア
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いなべ(2013年製作の映画)

3.3

【 ある地方の懐かしい景色とほろ苦い物語 】

三重県いなべ市が舞台。
 (三重県最北端、人口4万人強)

地域発信型短編ドラマで吉本興業とのコラボ。ハイキングウォーキングの松田(主役)と鈴木Q太郎。
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歓待(2010年製作の映画)

3.6

【 平凡な家庭がカオスの世界になるお話 】

強烈なドラマ。
深田晃司の喜劇、カオスの世界。
気味悪さと混沌の中に笑いがある。 

そして、古舘寛治という役者の存在感。

お話は、、
町工場で小さな印
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