久しぶりのシネマート心斎橋でした。
本作は観たかった作品なので、上映開始の早い段階で観に行けてよかった。
しかも、20時の回!
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静かな作品なのに、そして核心となるものを見せないのに、うわ…と声を小さく上げてしまうような衝撃だった。
ゲームクリエイターのフリアンは、ゲームのクリーチャーをPCで造り出す。VRでの製作過程に惚れ惚れする。それが彼の仕事だ。
穏やかで優しく、静かな男。
彼はある日、隣に住む少年クリスチャンを火事から救う。ピアノ🎹と植物🌿が好きな少年だ。フリアンの部屋には時々クリスチャンが弾くピアノが聴こえる。
隣の人が弾くピアノの音色が時々聴こえるような部屋ってなんかいいよね。どこか得した気分になるなぁ。
そんな美しいお話のはずだった。
フリアンは火事の一件の少しあと、ディアナというクリスチャンにそっくりな女性と出会う。可愛くて快活で、とても魅力的だ。
美術館に行き、クラブに行って朝まで踊り、ランチに行く。彼女も積極的だ。どんどん仲良くなるふたり。
しかしそれは突然壊れてしまった…
フリアンの人生が壊れた瞬間
ディアナの涙と捨て台詞は、彼女がフリアンを愛していた証だ。フリアンだって、今までひとりで戦って来たんだ。彼女といることで救われたかったはず。なんとか自分の中に渦巻く欲望を消し去りたかったはず。
その後の彼の暴走が悲しい。
バーチャルでなんとか抑えていたのに、それがだめなら…みたいな安直な思考が悲しい。
そしてそれを辛くも押し留めたもの
本作を観る数日前、NHKで、生成AIのリスクというか、それが持つ危うさ、それをどう監視、規制していくかが課題である、といった内容のニュースを見たとこで、すわ…これか?このことか⁈とひとりゾワゾワしながら観た。
まともだと思っていたディアナもまた同じように歪んでいた。去ったはずの彼女の生き生きとした姿は、そう解釈するのが妥当だろう。
思えば、冒頭のクリーチャーの制作過程。全体像が少しずつ明らかになるその描写がすでに本作そのものを表していた。ディアナが好きって言ってたゲームもだし。
なんだか悲しい物語。
しかし快作…いや怪作である。
フリアンのギラギラした目が
脳裏に焼きついてなかなか離れない。
【パンフのおはなし】
パンフのデザインが素敵でした。マティスの絵のような、黒と青で描かれたマンティコア。本作が描く闇と憂鬱を表しているよう。これからじっくり読み込もう。