ゆず塩

ニモーナのゆず塩のネタバレレビュー・内容・結末

ニモーナ(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【あらすじ】
女王殺しの汚名を受けた庶民の騎士“バリスター”は、突然現れた謎の少女“ニモーナ”に相棒になって欲しいと押しかけられる。無実を晴らすため奮闘するバリスターと、何故か彼を助けるニモーナの話。

【感想】
大好きな物語だった……。

あと、キャラクターデザインが好き。『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』っぽいなぁと思いながらずっと見ていた。あの絵柄で映画を見て見たかったんです! 「これ!これ!」って感じで良かった。他にもいろいろなデザインの影響は受けているだろうけど。
革命的なアニメーション表現とは言えないかもしれないが、この系統のデザインでもう何作か作ってください。お願いします!こういうのが見たいのです!!
Blu-ray出てくれれば買ってメイキングとか見たいのだけどなぁ。

物語について。
ニモーナが何をしたいのか、まーったく分からないままバリスターの相棒になろうとするのが好きじゃないかな。と言うか、それが普通の物語じゃないなぁと思った。バリスターが目的を持っているから見続けられる、というか映画だから見続けられるけど。
一方で、そういう物語なんだろうなって思ったけれど。テーマ的にそういう話と言うか。何者か分からないナニカをどこまで受け入れられる?って言う物語だと思っていて。現実問題、正体不明の人物を受け入れるのは難しいんだけれど……テーマがそれだから、こうした物語の運び方なんだろう、って考えながら見ていた。理屈っぽい見方かもしれないけれど。

性的趣向、経歴、肩書き、国籍、出身、職業などなど……そうした色々な物から現代人って相手を判断するでしょう? そのどれかに自分の想像と異なる部分があれば「それってどういこと?」ってみんな尋ねる。説明を求める。でもニモーナは、「私はニモーナ」としか答えないわけで。
この映画は「その説明必要? 納得できる説明がないと私とあなたの関係は成り立たないの?」ってことを言っているのかなって思いました。悲しいことに、説明しないと多くの現実は成り立たないんだけどさ。単純な人間関係なら成り立つかもだが、就職活動とか無理ですものね。就労契約結ぶ目的だから。
私の今の状況が、足元が安定しないフワフワした状態なので、ニモーナに自分が非常に重なってしまって。すごく感情移入してしまいました。

解りづらくて不親切な物語だと思うけれど、このテーマは映画でやって良かったんじゃないかな。しっかりエンタメになってるしね。
ニモーナの変身能力は不定形のメタファーなんだろうけど、アニメーション的にも楽しくさせてていいよね~。変身とか変形って、アニメーションの得意分野だし。アニメで作るべき作品だったと思う。

普通にニモーナ可愛いね! めちゃくちゃだけど! “とりあえずぶっ壊そうぜ”って勢いは『サイボーグクロちゃん』という漫画を思いだしたなぁ。パッションだけで行動しているのが意味不明で受け入れられない人は受け入れられないかも。
ニモーナが街中でドラゴンになって守った子供に剣を向けられるシーンとか、ニモーナの過去回想とか、めちゃくちゃ泣けちゃうしね。
セリフを使わないで感情を伝えるシーンがしっかり演出できてるのも最高!
一方で、ゴールデンロインと校長が二人で移動している時。ゴールデンロインが内心滅茶苦茶な感情になってるのは全部喋って伝えたり。説明的なシーンと、感情に訴えるシーンのバランスが良かったなぁって。

ニモーナのキャラクターが自分に刺さりすぎたってのは認めましょう。
物足りなさを言えば、ラストの怪物ニモーナを助ける所とか、校長を止める所とか、もっと驚きのある展開にして欲しかった気もするかなー。
ま、でも、ベタだけどこういうのでいいんですよ!

何度も言うが、この質感のCGでもう何本か作って欲しいです!(何本か作られたら多分飽きるので、アップデートして欲しい。ムチャブリ)
ゆず塩

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