花俟良王

リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシングの花俟良王のレビュー・感想・評価

4.0
ある程度ロックを聴いてきた人なら偉人として認知しているだろうが、ここまで正当な評価(印税や表彰など)をされていなかったのかと驚いた。
本作はリチャードの音楽やその影響を主軸にするのではなく、差別の嵐が吹き荒れる時代に「クイア」としての個性を表明しながら歩んだ人生を俯瞰する。
故に音楽的に掘り下げてほしかったり(せめてフル尺の演奏シーンが見たい、特にラスト!)、ゴスペルとの行ったり来たりが今ひとつ腑に落ちなかったりするのだけど、2020年代に作られるのならやはりこの切り口だろうと納得できた。
いずれにせよ、リトル・リチャードが音楽的にも人権的にも我を通す姿は今でも、いや今だからこそより刺激的に感じる。様々な人がもう一度彼の音楽を聴き直すことになるだろうし、彼の生き方に勇気をもらえるはずだ。
花俟良王

花俟良王