花俟良王

朽ちないサクラの花俟良王のレビュー・感想・評価

朽ちないサクラ(2024年製作の映画)
3.5
風格のあるショットから重厚な警察ものを撮らんとする作り手の気概を感じたし、対象的なベテランを演じる安田顕と豊原功補の演技には引き込まれた。

私の理解力のなさもあるのだろうが、主人公の杉咲花をずっと警察官が警察の広報課で働いているのかと思っていたが最後の方のセリフでどうやらそういうものではないことが分かった(どんでん返しではなく私が理解していなかっただけ)。そういえば噂好きのおばさんやキーパーソンとなる女性も警察署で警察官と共に働いているが非警察官のようだ。
また、ピンポイントの人物しか描かれないため、今所轄や県警はどういう雰囲気なのが分からない。本来ならばかなり殺伐としているのだろう。なので大きなうねりとなる捜査開始の際も、豊原功補以外全く知らない刑事たちが「ようしやったるで」と動き出しても今ひとつピンとこない。

そんな些細な描写不足の積み重ねが終始ノイズとなってしまった。杉咲花と萩原利久の自主捜査が少々現実離れしているので、他でガッチリ掴んで欲しかった。おみくじのくだりももう少し説得力があればよかった。

文句ばかり言ってしまったが、観るに値しないのかという決してそんなことはない。社会性のある骨太な、そして未来につなげる警察映画を作ろうという気概は伝わってくる。そういう映画は観終わって嫌な気持ちにはならない。
花俟良王

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