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傷物語-こよみヴァンプ-のモモモのレビュー・感想・評価

傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)
4.2
3本を纏めた総集編とか出せば良いのにね、と冷血編の頃から言ってたんですが…こう…時間を置いて…ノスタルジーすら感じる歳で劇場公開されて…感無量でした…。
ちゃんと長さを感じる傑作って良いですよね。満足度が高い。
「このクオリティなら三分割でも問題なし。全然待ちます」と感じていた三作が一本になると贅沢な瞬間の連続ですよ。
リアルタイム時は「TVアニメシリーズとはリズムが違う」と言い続けていたんだけど、再見すると(通しで観ると)そんな事もない気がしましたね。シネスコ画角で劇伴も重厚だが、アニメだからこそのシャフト演出は一貫している。
10年代アニメ・漫画・ラノベの自己犠牲を厭わない主人公に対して「いや、それ異常だよ」と突き付ける脱構築物語。
代償を求めずに助けを差し伸べる意味と責任を知ったアララギさんが、それでも尚人を助け続けるのだから感涙ですよ。
キスショットを「かわいい」と観客に刷り込んで、3連戦アクションを経過した先での、食事シーンが最高。これは通しで観た方が嫌な気持ちでしたね。
こんな事が春休みに起きたのに(羽川と友達になってキスショットが…)、ガハラさんが彼女になるんだから、恋愛ってタイミングですよね。
前半のバッキバキにキマッたレイアウト、シャフト式地下鉄ロケーション、アニメーションだからこその作画な前半と、会話劇で収束しながらも情緒的な間を感じさせてくれる最終盤で大大満足。
結構、劇伴が変わった印象だったけど…インタビューを読むと再録してるみたいなんで…3部作を観直してから又本作を観たい。
人を助けたいエゴの物語。
傷ついた者に傷をつけて終わる物語。
羽川とのあのシーンとか、諸々の編集に少し安心。やっぱクリエイター側は時代の空気を感じ取っていて欲しいので。
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