爆裂BOX

小さな目撃者の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

小さな目撃者(1999年製作の映画)
3.6
事故で口のきけない10歳の少女メリッサはアメリカの製薬会社の重役の父の商用と観光を兼ねて母と共にアムステルダムに。だが、両親とはぐれ迷子になったメリッサは殺人現場を目撃し…というストーリー。
「ナイトメア・オブ・サンタクロース」や「ハント・エサ」のディック・マース監督によるサスペンスアクション・スリラーです。
口のきけない少女が異国の地で殺人を目撃し、殺し屋に追われることになるというベタな設定の物語ではありますが、割とテンポよく進んでいくので中々楽しめます。DVDのパッケージには「ウルトラ・カウンター・アタック・アクション」とありますし、「少女版「ダイ・ハード」とも書かれてますが、どちらかというとヒッチコックの「裏窓」のような巻き込まれサスペンスの趣が強いですね。序盤のアムステルダムの街を舞台にした逃走劇も隠れて逃げ回るのがメインになっています。
ガチなサスペンス・アクションかと思いきや、少女を追ってくる殺し屋が結構ドジでマヌケなのでコミカルな要素が多いですね。最初の殺人も被害者ともみ合ってて撃っちゃいますし、止め刺せと言われて撃とうとしたらジャムったのか銃が使えなかったり、ナイフ被害者にへし折られたりして結局依頼者が殺してるし、街中でもサイレンサーもつけずに銃ぶっぱなして銃投げつけたりしますし(証拠品になるぞ)、この殺し屋との逃走劇はハラハラもありますし、クスッともできて楽しかったですね。
中盤からは何とか逃げ帰ったホテル内での攻防になって、主人公も逃げ回りながらハサミで刺したり、エレベータシャフト内で蹴りくらわしたりホースで水ぶっ掛けたりと反撃もするのでこちらも楽しめます。殺し屋が主人公の泊まってる部屋に忍び込んで戻ってきた母親を隠れてやり過ごすシーンは滑稽さとちょっと緊張感もあって面白かったですね。中盤での戦いでは死人も出たりして割とハードになっていきます。あのロックスターはロリコンだったんだなぁ。前も捕まった事あるみたいだし。最後に殺し屋が落ちる観光船の乗組員のモブキャラも地味に死んでるな。警察は前半無能ムーブかましてくれますが、後半いきなり有能になりましたね。
主人公を演じたフランチェスカ・ブラウンは良い演技してたんじゃないでしょうか。本作以外の出演作は日本には入ってきてないようですね。
アカデミー賞俳優で3月に亡くなったウィリアム・ハートが終盤まで役に立たない主人公の父親を演じてます。主人公のいう事信じてその身を案じる母親をジェニファー・テイリーが演じていて中々見ないカップリングですね。主人公を序盤で助けて終盤でも登場する善人だけどジャンキーのホームレス役でデニス・リアリーが出演してますが若いですね。イイキャラだからもっと出番欲しかったな。依頼者の悪役をマイケル・チクリスが演じてますが、こちらも若いですね。
終盤ではマイケル・チクリスが主人公の乗った救急車奪ってアムステルダムの街を暴走しまくり、車ガンガン弾き飛ばしたり、パトカーが河に落ちたり、路面電車が脱線したり爆発起きたりと結構派手なカーチェイスが繰り広げられます。それまで目立たなかったウィリアム・ハートが救急車に飛びついてしがみつく結構なアクション見せてくれるのも見物ですね。
ラストも手話覚えようとしなかったお父さんがちょっと手話する所ほっこりしていい感じでした。
大作という訳ではないけどTV放送で流れたらかなり楽しめて見入っちゃう子供主役のサスペンス・アクションの佳作ではないでしょうか。マース監督もこの時は「悪魔の密室」のリメイク「ダウン」等でノッてる感じでしたね。