Benito

ダンケルクのBenitoのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.2
【 究極のシンプルさで描くサスペンス映画 】

典型的な戦争映画じゃない
サバイバルサスペンス映画

ノーラン作品には珍しく、上映時間が短く
単純なストーリーでセリフも少ない…

1940年、第2次世界大戦下のフランス北端の街ダンケルク。ナチス・ドイツ軍に追い詰められた約40万人の英仏連合軍の撤退作戦の物語(実話)

映画は陸・海・空の視点による群像劇
 陸 : 英国の二等兵の海岸からの脱出
 海 : 海岸へ船で向かう民間人親子
 空 : 燃料切れが迫る戦闘機パイロット

そして音響の迫力、没入感が半端ない
耳の横を通過する銃弾音、海岸や海上で鳴り響く爆撃音、戦闘機が通過する轟音、船に魚雷が命中する鈍い音、全てが生々しくてそこにいるような感覚になる

あと、時計の秒針の音がチクタクと鳴る無限音階(シェパード・トーン)の効果が、じわじわと緊張や焦燥感を煽ってくるというノーラン得意の演出も加わっていく

極めつけはノーラン監督と再び組んだ劇伴担当 ハンス・ジマーの存在。「インターステラー」はパイプオルガンを多用して神秘的かつ壮大なスコアを作り上げ、「インセプション」ではダークで荘厳な世界を構築してきたけど、今回「ダンケルク」では別次元。メインテーマ的なメロディもなく、究極のシンプルな展開、緊張感が緩む事ないまま不協和音的なフレーズ、不気味なトーン、そしてチクタク無限音階が終始続いて圧倒された

このスコアが凄い→ 'Supermarine'
https://youtu.be/4FgHkfi-9Cs?si=lB4QM7lwlZ1V_qvT

「ダンケルク」は従来の典型的戦争映画でもないし、サウンドトラックも典型的アクションスコアではない、独創的な映画なんだと改めて感心

<鑑賞記録>
1回目 : 劇場(IMAX) 2017年
2回目 : ホームシアター 5.1ch 2023年
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