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【推しの子】のnatsuoのレビュー・感想・評価

【推しの子】(2023年製作のアニメ)
4.6
「どうやら総ては叶わない
叶わないならばあなたになりたい」

第1話(劇場版)があまりにも面白くてフライングでこちら→ https://filmarks.com/movies/108913/reviews/152663807 に感想を書いてしまったのだが、改めてレビュー。


最初にあんだけ驚かされ、おもしろー!!って思ってたそのテンションはちゃんと続き、最後まで走り抜けた。【推しの子】というタイトルがこんなにも好きになるとは。
1話の方で言ったが、正直初めは舐めてたしそもそも観ないつもりだった。YOASOBI×女王蜂という最強すぎる主題歌起用だったことがかろうじて1話(90分...)を観るモチベになっていた。...そしたらなんだこのアニメは!!すごい面白いじゃないか!蓋は開けてみないとわからないものだなあと。芸能界の光と闇。アイドル界の光と闇。憧れの世界は地獄のようなものなのだ。死をも伴うものなのだ。もちろん誇張やフィクション的表現は多用されているが、それも含めてこの包み隠さず明かしていくスタイルはすごく好き。

ここは芸能界。我々含めたくさんの人にエンターテイメントとしてコンテンツを届ける世界は、恐ろしい面を持ち合わせる。特にネットの恐ろしさはご存知の通り。ネットによる非難が原因で取り返しのつかない事件に発展することは、現実でも実際に起きている。ちょっとしたツイートが人の命を奪いかねると考えると身の毛がよだつ思いだ。現に自分もこうしたレビューを書き、実際悪く言う時は言ってしまっているので刺さる部分もある。難しい世界だなぁ。
自分自身芸能界に足を突っ込んでいる人間なので、とても勉強になった。まだまだ無知で下っ端の自分なので、理解できないことは多いし現実でもそうなのか誇張なだけなのかはよくわからないが、芸能界の楽しさと恐ろしさはよくわかった。

まあそんな堅いことはそこまでいいか。1話及び"今ガチ"の数エピソードは恐ろしさが顕著だったが、とはいえ明るく楽しいシリーズだったのは明らか。ギャグセンも高いしおふざけも過ぎるくらいで観ていて楽しい。甘酸っぱい恋模様なんかも面白いし、ぶっ飛んだキャラも出てきて不覚にも笑ってしまう。恐ろしく大変なテーマを扱いつつも、小学生でも楽しめるようなストーリーや雰囲気にしていたのは見事。残酷さはぶつけつつも、華やかでポップさは失わない、とても良いバランスになっていた。"目の星"の演出に関しても始めこそどうなのかなーと思っていたが、このバランスの象徴でもある気がしてとても巧いなと感じた(鑑賞された皆さん、7話ラストは鳥肌モノでしたよね)。
個人的推し(の子)は、有馬かなちゃん。まず潘めぐみさんが好みということ。あのキャラ好きにならない人いないでしょうということ。男女関係なくあの子は推せると思う。もうめちゃくちゃかわいい。自分がアクアだったら...とも思ってしまう。かっこよさもありかわいさもあり、本当に素敵なキャラ。そして潘めぐみさんの素晴らしいCV。11話のあのセリフなんて感動せずにはいられないでしょう。カッコ良すぎた。とはいえみんな好きだよ。悪い人がいない世界でいいね。アカネに関してもまあ様々意見はあろうが、自分は7話ラストで落ちた人なのでね。
🐤←🫶🏻

そして何より、OPEDに触れずに本作は語れないでしょう。YOASOBI,女王蜂という超挑戦的で超豪華なセレクト。そして完璧なマッチ。(個人的主観は入るが、)音楽界のみならず芸能界をも激震させている2組だと思うので、その力強さには改めて腰を抜かしてしまう。
小説という一つの世界を音楽にするYOASOBI。やはり、"ある世界"を音楽にする力がとても強い。本作も(漫画という原作ではなく)恐ろしく華やかな世界をテーマにしているからこそ、その両面性を『アイドル』という一つの曲で表していると思う。日本のミュージックシーン(音楽性も流行性も話題性も全て含む)においてトップレベルに君臨している彼らの、強すぎる面を見た気がする。聴けば聴くほど良いのはもちろんだし、本編が進んだり原作小説(CDに収録)を読んだりして聴くのも味わい深い。これからも聴かれ愛され続けどんどんと歴史を変えていくであろう『アイドル』。とても良い曲だった。
でもやっぱり女王蜂なんですよ。まず自分自身、一番好きなアーティストが女王蜂という前提があるのでここで熱くなってしまうのは許してほしい。しかしファンであってもそうでなくても『メフィスト』には誰もが圧倒されたろう。本当あの使い方はずるいよ。毎話毎話鳥肌不可避のED入り(エピソードによるが、特に6,7話はもう尋常じゃない)。バッチリのタイミングでみーちゃん編曲のストリングスが流れ、まずここで鳥肌。はあきたきたメフィスト!!そして一気に"女王蜂"を炸裂。ドラム,ギター,ベースを投入し、一気に転調。ドラムカッコよすぎ。まだルリちゃんが叩いてるドラムで、力強さがすごい。そして本編もタイトルインや完璧な演出でそれに応える。これぞまさに女王の所業。いや、(地獄出身)悪魔の、"メフィスト"の所業。凄まじい。続けてエンドロールへと続くが、EDアニメーションもとんでもない。OPアニメーションも含め、とにかく鬼の作画と鬼の音ハメ。原作と楽曲へのリスペクトを感じる。もちろん本編作画や演出もたまげるくらいすごいのだが、OP映像、ED映像共に観応えが凄い(YouTubeでのノンクレジット映像がここまで伸びるわけだ)。『メフィスト』はAメロに入り、アヴちゃん(悪魔の女王様)の歌声が降臨。やしちゃんのベースもバチバチに攻めてくる。もうカッコよすぎてどうしようもない。ひばりくんギターも入るのだが、ラインが深くてかっこよくて痺れる。さらにテンポが上がるBメロを迎え、サビが来るぞ来るぞとテンションが高まる。そしていよいよ「わたしが命⤴︎⤴︎⤴︎を賭けるから あげるから」ともうとんでもないサビに。改めて言うが、女王蜂のボーカルはあくまでも1人。性別"アヴちゃん"のアヴちゃんただ1人。人類の域を脱したあの音域幅は全部1人で歌っているものである。とんでもねえよアヴちゃん。しかもすごいのは音域だけではないのがあの人。ボーカル及びボイトレの知識は疎いので全然わからないが、所謂カラオケのこぶし、ビブラート、しゃくり(それだけではないことは承知だがそれ以外がわからない)を、これまた人類の域を超えて巧みに使いこなす。やばいよ本当に。人じゃないんだよ。ちょうどこの前ライブに参加させていただいたのだが、人間を観ている感覚ではなかった。完全に女王蜂の世界。悪魔でも天使でも神でもある、あの神聖で地獄のような世界。そこに踏み入った者を悉く虜にさせ、逃がしてくれない。"命を賭け"させる。その分至福で忘れられない"時間をくれ"る。"推し"であり憧れであり神である、アヴちゃんに完全に釘付けだった。あんなに神々しくてあんなにかっこいい人は今まで観たことがなかった。女王蜂のライブは2度目だったのだが、前回より間近で観れたしZeppで爆上げだったのでもう本当にやばかった(語彙力)。改めてライブ、最高でした。『メフィスト』なんて大号泣。カッコよくてぶっ倒れるかと思った。YouTubeにはライブ映像が(恐らく自分が行ったダイバーシティのじゃないかな?)あがっているので、ぜひ観てください。MVは恐ろしいので鑑賞注意です。


ということで、何故か後半は女王蜂への愛をひたすら語っただけだったが、推しの子めちゃくちゃ面白かったです。ここまで話題になるだけの強みがあるし、キャラクターやイメージなども含めブランディングとしても大成功で、アニメなどエンタメ界の教科書的な立ち位置にもなる気がする。実際の視聴率や興行はよく知らないが、今後も愛され続ける作品であると感じる。2期以降もかなり楽しみだ。ただOPEDの起用はしっかり悩んだ方がいい。YOASOBIと女王蜂を超えられるかな?(なんなら再起用でいいと思います。)

自分はアイドルも芸能人も「推し」と呼べる人がなかなかいない、というか疎いので、まあ俗には生き甲斐がないと言われてしまうような人だろうが...
やはり僕の推しは、アヴちゃ...失礼、ぁゔちです💙
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