ベン家の帯

サバカン SABAKANのベン家の帯のレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
5.0
僕にはサバの缶詰を見ると思い出す少年がいる。
きっとどれだけ歳を重ねてもあの夏を忘れることはないだろう。
この一文から始まる1986年の長崎を舞台にした小学5年生の一夏の思い出を描いた物語。
とにかく好きすぎる。ずっと見ていたい。

何が良いかってまず映像。
九州らしい空や海の青さや緑の濃ゆさが存分に映し出されてるし、家、学校、商店どれをとっても懐かしく全てがリアル。

次に脚本。
セリフが秀逸。
短いけど芯が強くて心に残る名セリフが沢山あって方言も自然で良いし、笑えるシーンも多い。
親父「こげー!」
金山「負けんなよ」
竹本「ヒサちゃん またね」
竹本「そがん顔すんな!走るって決めろ!」
親父「よかよか」
展開も好き。
不安になるシーンがあれば安心できるシーンをすぐに持ってきたり、切ないシーンは幸せなシーンで挟んだりしててシリアスが長引かないようにしてるから後味が良くなってるのかな。

最後に、登場人物が凄く良い。
主人公久田は主体性に欠けるところがあるが繊細で心優しい性格がしっかりと描写されてて感情移入しやすいし成長が見える。そしてその成長は大人の久田にも影響している所が見て取れて一夏の思い出の大切さに深みが出てるのも良い。
竹本は強がってるけど、「ダムが泣きよる」ていう発言とか、イルカが見つからなくて不安そうな顔してたりして子どもらしさがちゃんと見えて徐々に久田と仲良くなっていく幸福感が感じられて良い。
親父は一見荒っぽいんだけど、息子のありのままを受け止める懐の深さがあって良い。
内田のじじいとか出てきた瞬間に竹本のこと好きなの丸わかりだし、最後まで優しくて最高。

エンドロールも最後まで楽しませてくれるし本当に最高。


【サウンドトラック1】
KYOZO & BUN / 自転車にのって
2人で自転車を押してタンタン岩を登るシーンでタケモトが持ってきたラジオから流れる曲。
当時の歌かと思ったら2022年リリースの新曲。めちゃくちゃイイ。

https://www.shazam.com/track/641750610/jitenshani-notte?referrer=share


【サウンドトラック2】
河島英五 / 酒と泪と男と女
タケちゃんと駅で別れた後、家に帰るシーンで親父(竹原ピストル)が歌う曲。選曲が渋すぎるし、歌声が良すぎる。

https://www.shazam.com/track/40736118/%25E9%2585%2592%25E3%2581%25A8%25E6%25B3%25AA%25E3%2581%25A8%25E7%2594%25B7%25E3%2581%25A8%25E5%25A5%25B3-93%25E3%2582%25B7%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B0%25E3%2583%25AB%25E3%2583%2590%25E3%2583%25BC%25E3%2582%25B8%25E3%2583%25A7%25E3%2583%25B3?referrer=share