ベン家の帯

生きるのベン家の帯のレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.5
「命短し、恋せよ、乙女」
市役所の市民課長の渡邉勘次(志村喬)は絵に描いたような役人。保守的で、形式を重んじ、余計な事をしない。ある日、余命半年であることを知った渡邊は死ぬ前に”生きる”ことを決意する。

▽以下、ネタバレ含む
市民課長の主人公(志村喬)が一念発起して問題解決に尽力する話なんだけど、凄いのはストーリーを展開する順番とその見せ方。前半はウジウジした主人公に腹が立つんだけど、後半がめちゃくちゃ面白い。
「それから5ヶ月、この物語の主人公は死んだ」
渡邊が”生きる”ことを決意したすぐ後で、葬式のシーンに切り替わる。
渡邊の葬式で思い出話をする程で色んな場面を少しづつ見せながら、渡邉が“生きた”様子を明らかにしつつ、参列者である同僚の考え方が変わっていく様が面白い。
同僚たちが「渡辺さんのように生きるぞ」と盛り上がるも、翌日以降の仕事ぶりは一切変化がないのもリアルで良い。

【サウンドトラック】
森繁久彌 / ゴンドラの唄
命短し、恋せよ、乙女と志村喬が歌う歌。染みる。
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