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すずめの戸締まりのpeitoのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.5
日本に遅れること約5か月、ついにSUZUMEが全米上陸ということでタイムズスクエアのAMCへ。

土曜の夜、観客は5割強埋まってただろうか。日本人はまばらで、アジア系の人やオタクっぽい人が多かった。
草太が椅子に変えられてしまうシーンや、AI搭載の椅子だと説明された双子が天気や今日の株価を聞くことろではしっかり笑いが起きる。一方ですすり泣くような音(私以外、近くからは)は聞こえず、おそらく日本ではシリアスに受け止める人もいただろうが、当地では「人/土地の記憶」が異なるため、受容のされ方も異なったのだろう。移動距離もグーグルマップで軌跡が表示されることでこちらの人々も理解していた様子。日本の文化と歴史の精神性がベースになっているが、ラストでは拍手も起こっていたので、ある程度普遍的なメッセージもあったのだろう。

災害は日本列島の本質の一つで、そこで暮らしてきた人々の歴史、宗教、風俗には影響が色濃く残っていて、物質的な人/土地の記憶である廃墟も、災害の残骸であることも多い。災害で人が消え、土地だけが記憶を有している中、それを鎮め、カギをして、要石を置く、という流れはすっと腹落ちする。

人に手を差し伸べることは、当然自分にとって負担にはなる。それでもなぜ人は手を差し伸べるのか。姪を家族に受け入れるのも、友達を探しに東北まで運転するのも、見知らぬ人を泊めてあげるのも、石になった人を救いにいくのも。giveすること、されることが最大のtake。

また会いに行きたい人、場所が宝物。
懐かしすぎる未来が、たった一つの探しもの。
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