眼鏡の錬金術師

マイ・ブロークン・マリコの眼鏡の錬金術師のネタバレレビュー・内容・結末

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

タナダユキ監督の。

冒頭、ニュースで幼馴染みマリコの自殺を知るシイノ。
マリコとは子どもの時からの付き合いだが、マリコは父親からあらゆる虐待を受けていたようだ。
その事を近くで見てきたシイノはマリコの実家に突撃し、遺骨を奪う。
生前2人で海に行きたいと話していたことを思いだし、遺骨を抱えて旅に出るシイノ。しかし旅先でひったくりにあい、無一文になる。優しい釣り人に金をもらい、その金で飲みに行くのメンタル強すぎ笑。
時折過去回想が挿入するパターン。幼少期から虐待を受けて育ったためか、マリコは大人になってからも自ら破滅的な生活を送っていたようだ。
ラストは襲われてる女の子をマリコの遺骨でぶん殴って救う。その際意図せずマリコを散骨。

今回のはタナダ監督にしてはかなり重いテーマを取り扱っている。展開はスローで、登場人物も少なく、大きなイベントはない。ロードムービーと言うにはスケールは小さく、所々笑えたり、逆に笑えなかったりするが、しっかりとまとまった作品のように感じた。

何年も虐待を受けていたことは明らかなのに、何故誰もマリコを助けられなかったのか。本来ならばあの父親こそが断罪されるべきであるはずなのに。マリコがひたすらにかわいそうだった。

もういない人と会うには自分が生きるしかないって言葉が府に落ちた。故人を悼むのは人の記憶力と想像力の成せる技なのかもしれない。哲学的なことを言うと、他人も含め、あらゆる事物が存在してるかどうかは究極的には自分の認知によるところが大きい。であるならば、故人を認知し続けることがその人を生かすことなるのかもしれない。
まぁ、そもそも人の生死に意味を見いだす必要があるのかについても議論の余地があることも一方で申し添えておく。