予想はしていたんだけど是枝監督のやり口に似ていた。
こちらは観客に提示します、思想の押し付けはしません、鑑賞後に皆さんに考えて欲しい、とでもいうようなストーリーテリング。
表現として質はすごく良いものには感じはした。あえてせまい画で切り取る世界はすごく美しい。現実に起こりそうな制度を作り、画面の外で起こっていることもちゃんと想像させる。
しかしそれがどうにも「失敗しない社会派映画のつくりかた」を見せられた気分になる。
姥捨山とも言える制度がある近未来。しかし映画はとにかくそのアイデアから発展はせず、登場人物に声を上げさせることはしない。
見終えた観客は途方にくれ、この内容が身近に感じる人々に寄り添うような、何か救いを提示する要素も正直ない。しかし作り手はというと海外の映画祭で華やかなレッドカーペットを歩くご褒美をもらっている現実（たぶんだけど）。
そういう現実も含め、一方的に感じてしまう。作り手の狡賢さがどこかにあるのでは？
監督の怒りや憤り、そういった意思表示が生んだシーン、そういうものがはっきりあればすごく良かったんだけどな。
