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ゴールデンカムイのdaisukeookaのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
4.5
原作大好き。「キングダム」は映画からマンガに戻って楽しんだが、今回は原作マンガをリアルタイムに全巻読破した上での実写映画だ(ごめんアニメは観てる暇がなかった)。

陰謀や策略が縦横に絡み合う原作は、何度か繰り返して読んでやっと物語が腹落ちする歯応えだ。なので「限られた尺」で勝負する映画はその「絡み合い」をシンプルにせねばならなくて、それは上手くいっていると思う。映画はまだ続くが「映画を観ては原作に戻る」という楽しみ方がオススメな仕上がりになっている。

それは何より「似せっぷり」「寄せっぷり」が凄いからでもある。キャスティング発表時は毀誉褒貶あった杉元=山崎賢人だけど、二百三高地の殺戮を経て造形のみならず動作と不死身の魂を入れ込んで、原作の杉元と比べても何の違和感もない。アシリパ=山田杏奈、鶴見中尉=玉木宏、土方歳三=舘ひろしも、造形も動作もまさに「実写化」で驚いてしまう。

言わずもがなだけどアクションが佳い。殺陣が重くて速いし手数も多い。「時代劇で現代劇」という背景もあって、考証より娯楽性を優先したのか? こういう時は「観て楽しい」ってのが一番で、その選択に迷いがない。「スキーでの追跡」は軍装でモーグルターンをかます追い撮りがイカしてる上にわずか数カットで終わっててその贅沢さもたまらない。「橇上の格闘」は窮屈な上に、何度も組み合って転がる二人を跨ぐようにカメラが猛スピードで行ったり来たりする。あれどうやって撮ったんだ?まさかFPVドローンじゃないよな? そして「小樽ではしゃぐ白石(矢本悠馬)のスキップ」だってスゴい。ワンカットであの距離を左右ジグザグに飛んではねてスキップして、牛山(勝矢)に出くわして格闘になだれ込む。普通に出くわせておけば良いものを、わざわざスキップまでさせるのだ。あれ合わせるの大変だぞ。

そして動物が良い。ヒグマもオオカミのレタラも素晴らしい。猫と暮らすようになったから、映画に出てくるリアルな動物キャラに(「-1.0」のゴジラも含めて)親近感が湧いて見えるってのもあると思う。動物と暮らしている人たちが作り手にも増えてきたのかもしれない。特にレタラはすごい。リアルさと「芝居」の両方が共存してて、「ウチのもこんな顔する」と素直に思えるのだ。

さらに終盤、杉元の窮地を助け出したアシリパが雪原で杉元を叱るシーンが良かった。アクションだけでガンガン繋いで、心情面をあの雪原でグッとまとめることで、物語のテンポを落とさずに追い込んでいる。一緒に戦ったからこそ、そのあとに語り合うことで理解し合えるもんなのだ。あの背景にダイヤモンドダストが降ってきたのは僥倖。まさか後からCGで合わせましたなんて言わないでね。

雪のロケ、山のロケ、雪山のロケ、観ている分には楽しめているけど「どうやって撮ったんだ?」と思うとキリがない。そこにアクションも絡む。現場を仔細に覗いてみたい。アクションやらスペクタクルとなるとどうしてもハリウッドってなるんだけど、デカい車やメカや噴煙や大波がぶつかり合うんじゃなくて、生身の人間が戦って周囲の事物がそれに反応・干渉する「アクション」なら、近年なら日韓の方が上なんじゃないかと思えてくる。あとは「切ったり刺したり」この匙加減も絶妙だ。グロすぎず痛すぎないところで止めているがキツい人もいるだろうな。けどその「痛さ」が「恐怖への源」となって、冒険の陰になっていることは間違いない。それが大事なのだ。

まー次が楽しみ!
見逃してる映画「キングダム」も全作観ないと。
この制作チームは本当にすごいな…ただ感服する他ない。
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