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1640日の家族のjamのレビュー・感想・評価

1640日の家族(2021年製作の映画)
3.9
子どもは忘れるだろうか?

幼い頃の記憶っていつまで覚えてるんだろう

そうっと振り返ってみれば
妹とお留守番中に床屋さんごっこしてざん切り頭になったことや
優しいおばさんの作るご飯
そして
母が亡くなった冷たい冬の朝のこと

胸の奥の小さな箱の中にしまってあるそれらの感触が
消えて無くなることなどおそらくは


里子のシモンにとって
ママはお墓の中のママではなくて、アンナ
クリスマスは本当のパパとじゃなくて
共に育った"兄"たちと過ごしたい
物心つく前から育った環境は
彼にとってはもはやデフォルト

いくら実の父とはいえ
急なパパと2人っきりの生活は
まだ幼い彼にとってすぐに受け入れられるものではない


アンナにとっても
例えいつかはくるかもしれないと思っていたとしても
突然のシモンとの別れは
容易に受容できるものではなく


それぞれが苦しみ
それでも日々は過ぎていき

張り裂けるような胸の痛みを
癒すのは、歳月ということか

何かの映画で誰かが言った台詞を思い出す

"子どもは忘れます"



シモンが祈りを捧げた神が
アンナに見せてくれたのは
彼の無邪気な姿

…"ママ"と呼んだ人の温もりは、忘れてない、よね?
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