溌狩

カラオケ行こ!の溌狩のレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.0
・原作が好きなので「どうなる……!?」という気持ちと、「脚本が野木亜紀子さんなら大きくは外さないだろう……」という気持ちが入り混じった状態で上映開始を待った。

・全体的に思っていたよりも静かなトーンで原作のギャグ漫画的な空気が薄く、ドライな雰囲気の作品になっていたことに驚いた。そして、そんな雰囲気の中、聡実くんのモノローグもなく淡々と静かに物語が進んでいくので、聡実くんと狂児の関係がそこまで深まっているように見えない。

・特に狂児から聡実くんへの矢印が薄味に感じられてしまい、悪くはないんだけど惜しいよなぁ〜〜〜〜と歯がゆい思いをしていたら、クライマックスの『紅』で全部ひっくり返った。あの青春が燃え尽きて煌めく数分間に心を一気に持っていかれてしまった。原作とは違う形で、2人の友愛を少しだけはみ出した"そこにしかない関係"がしっかり描かれ、完成していたと思う。良かった……。

・あと、斎藤潤さん演じる岡聡実のビジュアルの美しさはすごい。和山やま先生の濃い絵柄そのまま!というわけではないけど、一目見れば「岡聡実」だと納得する圧倒的な力と美しさがある。
溌狩

溌狩