溌狩

ゴジラxコング 新たなる帝国の溌狩のレビュー・感想・評価

4.0
・前作で地下空洞世界に住処を移したコング。同じ種族の生き残りを日々探す彼は、スーコという小さい猿のような怪獣と出会う。そして、スーコに導かれた先でコングが見たのは、自らに似た種族がスカーキングという悪辣非道な怪獣によって支配されている様子だった。気に食わねぇ……とばかりに勝負をしかけるコングだったが、スカーキングと彼が従える氷結怪獣シーモの前に敗れ、地上世界への侵攻を許してしまう。一方その頃、ローマはコロッセオで眠っていたゴジラは何かが動き出した気配を感じ、大量のエネルギーを蓄えに南極へ向かうが……というおはなし。

・ずっとお笑い的な意味で面白い。今回はコングが作品の主軸で「コング2 feat.ゴジラ」くらいの勢いで物語が進んでいくのだけど、コングのチャーミングさを全面に押し出すようになって、ドラマパートを巨大なゴリラの怪獣が担うという異様な映画が完成していた。
もちろん人間側のドラマパートもあってコングのドラマと共通するテーマが描かれたりはするものの、2本ある縦軸の1本をフンガフンガ言ってるゴリラが進めていくのはすごい勇気だ。異様ではあるけど、この映画を観に来ている人はたぶん全員コングに親しみと敬意を抱いているから何の問題もない。

・それにしても、今作の新キャラであるミニコングのスーコが全然かわいくないのもすごかったな。無垢で愛くるしい存在なのかと思っていたら、コングを騙して別の怪獣と相打ちにさせようとするし、スカーキングがコングを嘲笑ったら周りに合わせて「ケへへへ……!」みたいな感じで笑うし。割としょうもない奴だった。
そのスーコの成長と、コングとの師弟……いや、ボスと子分のような関係も今回の目玉ではあるのだけど。

・少し物足りなったのはゴジラの活躍かなぁ。バトルシーンはそこそこあったけど、本筋には全然関わってこない。まぁ、今回は「コングの映画」だと割り切るべきなのかもしれない。

・モンスター・ヴァースは新たな作品が生まれるにつれてどんどん怪獣ファースト思想が強くなっているけど、今後は一体どうなるのだろうか。人間の歴史は怪獣の歴史に比べて浅いのだから、人類のことなんて知ったこっちゃないのは当然でしょう、くらいの域まで来ている気がする。
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