・ミネソタ州ミネアポリス。義父が経営する自動車販売店で働くジェリーは自身の借金返済のため、妻の狂言誘拐を計画するが、予期せぬトラブルによって実際に3人の死者が出てしまう。歯車が狂った計画は止まることなく進み続け、やがて女性警察官のマージが捜査に乗り出すが……というおはなし。
・狂言誘拐の計画が何ひとつとして上手くいかず、どんどん死者も出始めて……というコメディサスペンスではあるけど、それがコミカルに描かれるわけでも、深刻に描かれるわけでもなく、放っておいたらそんな感じになっちゃいました……くらいの温度感で描かるのが面白い。全体を通してそこまで前のめりになって観るような場面もなく、たまに会う知り合いの話を聞くような距離感で観た。豪雪地帯だからみんな厚着をして、モゾモゾ動きながら人を殺したり、事件を捜査したりしているのがなんか良い。
・悪人たちが跋扈する物語の中で良識と善良な心があり朗らかに捜査を進めるマージの存在がかなり嬉しかった。こういう映画って登場人物全員どうしようもなくて、揃って破滅していくようなものが多いので、常識人が1人いるだけで妙に安心する。警察がこんなにもちゃんと正義を全うしているブラックコメディも珍しい気がする。小さな街で夫と寝落ちするまでテレビを見たり、一緒に朝ご飯を食べたりする尊さが、犯罪映画だからこそしみじみと伝わってくるのが上手い……！
