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「金日成の子どもたち」日本語のeulogist2001のレビュー・感想・評価

3.4
作品の構成は少し難を感じた。説明が過剰に感じたし、演出も一面的。

とは言え歴史的事実としては初めて知ったことで驚きだった。
・朝鮮戦争の戦災孤児を社会主義国が全力を挙げて育て上げようとしていたこと。
→社会主義というイデオロギーの優位性を誇りたいがためだった。
・子どもたちは孤児も受け入れる東欧の子どももひととして友情や信頼関係を築き、とても自然で好ましいものだった。
→イデオロギーとは無縁に彼らは素直に人間関係を築いていた。
・その後、北朝鮮の都合(独裁国家建築には東欧の教育は好ましくない)で帰還させる。数少ない教師同士の結婚も引き裂かれた。その後、手紙等のやりとりは出来なくなった。
→個人の権利よりも、独裁者の利益優先となる国家の本質が分かる。国民はあくまでも、キム一族のために存在するのだ。そのことに不都合な仕組みや考え方はすべて「犯罪」であり、禁止となる。

個々人の人権と国家との関係。ひとびとをよりしあわせにするために生まれた思想や仕組み(イデオロギー)が、その主義が完全否定の「神」以上に絶対的なものとしてひとびとを律する。

「立派な考え方」が「立派なシステム」を生むとは限らず、現在までほとんど権力者の独善性や利益優先となるシステムに成り果てている。その被害者となるのはシステムの奴隷となる庶民なのだ。
「立派な考え」(そこには正義や正しさ、法律も含まれる)には、常にマユツバを持って接しておかないと奴隷となる未来が待っている。そう考えておいたほうが良いのがよく分かる。
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