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これまでの人生で最も恐ろしい映画だった。
恐ろし過ぎる。
途中で何度観るのを止めようと思った事か。
高所映画だ。
地上600mの塔の上で立ち往生する二人の女性の物語である。
なぜ、そんな所に登ったのか。
一応の理由とドラマがあるのだが、そんな事はどうでもいい。
とにかく高所の恐怖と主人公らがこの危機にどう対処していくのかが見どころで、スリルを存分に楽しむための映画なのだ。
逆に変にドラマがしっかりし過ぎていたら、なんか焦点がぼやけてしまいそうな気がしたりしなかったり。
もう、どのシーンを見ても恐い。
クラクラ、オエオエしながら観た。
よく最後まで観る事ができたものだ。
自分で自分を誉めて差し上げたい。
実は私は極度の高所恐怖症なのだ。
部屋の電球を取り替えるのさえ、おっかなびっくりなのである。
ジェットコースターや観覧車には絶対乗らないと決めている。
マンションの外階段は一生使わないと決めている。
通天閣には金輪際登らないと決めている。
私の決意は固いのだ。
そんな私がなぜ、この作品を観てしまったのか。
それは果敢なチャレンジ精神のなせる技なのだ。
ホラーが苦手な人はホラー映画を観ない。
だが、高所が苦手な私は高所映画を観る。
それだけの事だ。
私は鋼の精神を宿している男なのだ。
私がただ凄いというだけの話である。
どうか私を称えていただきたい。
何回かチビッた事はこの際、問題ではない。
それはほんの些細な事なのだ。