T太郎

札束と寝る女神たちのT太郎のレビュー・感想・評価

札束と寝る女神たち(2021年製作の映画)
3.7
945
ポーランド映画だ。
タイトルのインパクトに惹かれ鑑賞してみた。
娼婦の話だ。

警察や検察の捜査資料、裁判資料などを基に製作された作品らしい。

ただ、この物語自体が実話なのかどうかは、よく分からなかった。
各種資料を基に組み立てられたフィクションかもしれない。
どっちなのだろう。
気になる方は各自で調べて私に教えていただきたい。
(お前が調べろ)

ポーランドでは年間25万人以上もの若い女性が性的搾取を受けているらしい。
それに伴う人身売買も急増しているとか。
そんな背景を持つ作品である。

主人公はエミという素朴で美しい女性だ。
彼女が娼婦の世界に飛び込み、のし上がっていく物語である。

やがて、彼女自身が組織のリーダーになり若い女性たちを束ねていく。
スカウトし、騙して売春をさせるのだ。

ただ、この辺はコメディタッチに描いているので悲壮感はない。
重い展開は終盤に待っているのだ。

イケイケの頃のエミは無敵だ。
アラブの石油王とのコネを作り、ウハウハ状態なのである。
画面内には札束が舞い踊る。

女性たちに売春をさせながら、彼女自身はハンサムな二人の男性の間で揺れ動いたり・・
一方で仲間をいとも簡単に切り捨てていったり・・

細かいエピソードが積み上げられていくのだが、この間何とも言えないモヤモヤ感がある。
終始、喉に小骨が刺さっているような不安感や焦燥感がくすぶり続けるのだ。

それらが一気に爆発する後半の怒涛の展開が、素晴らしい。
エミに対する無慈悲で容赦ない仕打ちは、因果応報と言えど実にお気の毒なのである。

社会派な作品なのだが、まずストーリーが面白かった。
2時間超の長尺ながら、全く退屈しなかったのだ。

エッチな場面はあるが、意外とそれほど多くない。
そういうの苦手だよ~って人も安心して観ていただけるはずだ。
 
ファミリーで鑑賞できる作品だと言えよう。
(ダメ、絶対!)
T太郎

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