眼鏡の錬金術師

西部戦線異状なしの眼鏡の錬金術師のネタバレレビュー・内容・結末

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

第一次世界大戦のドイツに焦点を当てた作品。

日本はほとんど参戦しなかったので馴染みが薄いが、ヨーロッパで世界大戦と言うと、一般に第一次世界大戦のことを指すと聞いたことがある。
ヨーロッパという土地は歴史上殺し合いが常ではあったが、この第一次世界大戦からは国民国家が出来上がり、近代兵器が登場し、死人の数は飛躍的に伸びた。

機関銃や爆裂弾などの殺傷力の高い武器が使われるようになったことで、血みどろの塹壕戦となる。
この塹壕戦がかなりヤバい。戦闘が長引くし、両軍退くことも進むこともできないという詰んだ状態で、昼夜問わず砲弾が降りそそぐなか、寒さと飢えと感染症などにも悩まされる。隣では仲間が死体になっていく。

情報が正確に国民まで行き渡らない時代において、若者が意気揚々と志願し、前線へ送られていく。
最初は楽しそうに戦場へ向かう彼らだったが、戦場の過酷な環境を目の当たりしてビビりまくる。そこは鉄砲の弾のごとく人の命が消費される世界だった。

最後、第一次世界大戦では1700万人が死んだと表記されていた。1700万人それぞれに家族がいたことだろう。避けようがなかったんだろうけど、後世から見れば愚かな行為としか言いようがない。
こういうの見るとヨーロッパって、100年前にこれだけ血みどろの殺しあいしていて、今どういう気持ちでEUとして仲良くやってるのって思う。すごいな。4~5世代かわると憎しみも薄れるもんなんだろな。

冒頭の軍服洗濯からの支給シーンが良かった。このシーンだけで戦争の悲哀や命の使いまわし感がめっちゃ出てた。