ナンデヤネン

理想郷のナンデヤネンのネタバレレビュー・内容・結末

理想郷(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

うーん、ちょっと消化不良だなぁ。というか、アントワーヌと対立する兄弟がどうなったのか描き切って欲しかった。私自身、あの兄弟には十分胸糞悪さを抱いていたので、いち観客として「ざまぁ見やがれ」とスッキリする形で終わって欲しかった。
元はと言えば、風力発電の誘致の是非をめぐる対立が原因なのだが、アントワーヌが反対した理由がいまいち伝わってこなかった。環境を守るため?それとも村を観光化したかったからなのか?あの兄弟も何故あんなにアントワーヌを敵視するのか。彼以外にも反対する村民がいて、その村民のことはスルーしているのにである。兄弟の兄曰く「フランス野郎だから」だという。なんとまあ、たったそれだけの理由である。
日本でも都会から田舎へのUターンは、現役バリバリで働いてきた人にとって老後の夢であり理想の暮らしである。しかし、いざ住み始めると地域に溶け込めず上手くいかない声をよく聞く。地域の寄り合いやお祭りなどの行事に参加しないといけないとか、共益費を負担しないといけないとか。実際に住み始めて初めて地域のルールを知る。実際のところ、過疎化対策として地方行政は熱いラブコールを都会に送る一方で、田舎の住民にしてみれば実はあまり外者を受け入れたくないというミスマッチの事例はあるかも知れない。
アントワーヌが行方不明になってから事件が動き出すまではダラダラしていたが、娘の説得にも頑として村を出ようとしないオルガの芯の強さには魅了された。夫を見つけるのを諦めない気持ち。女性は強いです。
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