A8

パスト ライブス/再会のA8のレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.2
個人的には恋愛映画のなかで
「ビフォアサンライズ」以来の衝撃を感じる作品だった。

最後のあのシーンはさすがにうるっと涙腺にきた😢


韓国ソウル🇰🇷のある街で同い年12歳の男女がいた。
2人は互いに想い合っていたが、
なんせまだ12歳の子ども。
しかも女の子の方がカナダ🇨🇦へと移住をしてしまうことに、、

最後に思い出つくりをしようと
2人の親御さんはデートを企画する。

そして別れの日、いつもの2手に分かれてバイバイする帰り道、、
また明日も会うかのように、二人は別れるのであった。


時は流れて12年後、24歳の若者になった二人はSNSで再会する。
その歳月を感じさせないほど二人は仲睦まじく話していた(オンライン上の電話で)
そうして、段々抑えきれない特別な想いが込み上げてくる。

だが、二人は(女の子の方が特に)夢を追いかけている途中、
実際に会えないのならしばらくはこういった関係をなしにして連絡は取らない方がいい
そう言う。
男の子は戸惑うが、仕方なくそれに賛成する

二人はやがて別々の相手を見つけるのだが、
運命は“イニョン”はこの二人をやはり簡単には離さない。

“イニョン”=前世でも繋がりがあった特別な縁、運命のようなもの

それからまた12年経ったある日、
女の子は米国人男性と結婚していた💒
男の子は休暇という名目で彼女に会うため
NYへと向かう。





24歳の時、36歳の時
人生は何気ない毎日の連続かのようでも
やっぱり着実に前へ進んでいるのだ
住む場所、仕事、家族、そして恋人パートナーと、、
あの時の自分、もしくはあの時のあの子はもういない。
でも、どこにもいないわけではない
あの時のあの子は今もどこかで繋がりを保ち続けているのだ
誰かの心で生き続けているのだ
誰かのかけがえのない思い出となっているのだ
そして、全く別人のような今の自分を作っているのもやっぱりあの時の自分なのだ

あの時の自分、そしていまの自分は
時を進めるごとにいなくなる。
いなくなるとは語弊があるかもしれない
だけどやっぱりいなくなっているという言葉がしっくりくる。
でも、その時の自分がいた証は
こうやっていまも尚、自分も知らないうちに“イニョン”運命として人と人を巡り合わせているのかもしれない。
それが前世だろうと、なんだろうと
人と人の巡り合わせって奇跡なんだなって素敵だなって感じた。
日本語で言えば一期一会みたいなことかな?



最後のあのシーンで完全にもっていかれた
もう、言葉も出ないほど呆気にとられた。

やっぱり米国人夫は、妻の初恋人が訪ねてくることに対して戸惑いがあった。
でも、彼はそれ以上に妻を愛していたのだ。
信じるとかそういうのよりもずっと上のもの
ただ単純に彼は妻のことを愛していたのだ。
だけどやっぱり特に、バーで3人が座り会話をするのだが、韓国語で二人が話している時寂しそうな顔をする。
だけど、彼は怒ったり気を崩したりせず優しく強くそこにいたのだ。

そして、最後
妻が初恋人をタクシーまで見送りに行くシーン。
これはほぼノーカットで横から流れるようなアングルが印象的だった。
もう何も邪魔しないような演出、
彼らの姿、言葉以外何もいらない、、
それを尊重した素敵なシーン。

あっという間にタクシーの待ち合わせ場所まで着く
そしてちょっとだけある待ち時間

約20年ぶりにようやく会えたその相手が、また再び遠くへ行ってしまう
そういった悲しさ、切なさ
でもどうしようもできないもどかしさ
そして会いたかったあの人がこんなに近くにいるのに、何故か言葉が出てこないあの不思議な感じ。
そして、一線は決して超えない二人の芯
そういったものが語りなしで
グサグサと伝わってくるのだ。

そしていよいよ来たタクシー
そこに乗り込む彼は、
再び彼女の前にやってきて
“イニョン”のことを口にする

来世では俺たちどんな関係かな?
わからない
そうだよな、、
またその時会おう。(来世)

そして、タクシーに乗り込む
二人は決して後ろを振り返らない

彼らはわかっていた
もう会うべきではないと
去るべきだと
残るべき人が彼女の旦那だと、、
“またその時の会おう”
この言葉でグッと彼らの
儚き、誠実な、永遠のような恋が終焉した
その代わりに素敵な思い出となるだろう。

彼女は涙を堪えながら若干早歩きで家に向かう
そうしたら家の前で夫が“健気に愛する妻”の帰りを待っていたのだ、、
抱き合う二人。
もうこれは泣いちゃうだろ!!

彼女のいるべき場所はここで
彼のいるべき場所はここではない。

なんかふわふわした感じで
また、会うかもしれない会わないかもしれない感じとか
夫もモヤモヤするだろうし
二人も次の人生歩み出せないじゃん!

そう思っていた矢先のこのシーン。
もう最高‼︎
このラストシーンでこの作品が一気に好きになった。
空気をガラって変えるってこういうことなんだなって
一つのシーンで神作品になるんだなって
そう実感した作品だった。

最後、夫が階段で待っているのだが
そこで彼の妻に対しての溢れんばかりの健気な愛情を深く感じた。
その愛情を視覚的に表したあのシーンがあるのとないのでじゃ雲泥の差だったかもしれない、、。

夫の健気な妻への愛情と
二人の誠実な愛終着点に
拍手を送りたい👏
A8

A8