たいよう

PERFECT DAYSのたいようのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

今年観た映画で1番良かった
役所さんの演技は幅広いな本当に。
あと平山さんの部屋がとっっても魅力的

役所さんが演じる清掃作業員の平山さんは決まった時間に起きて、家の植物達に水を吹きかけ、前の自販機でコーヒーを買ったり、と決まった毎日を送ってるけどそんな毎日を平山さんは凄く良い顔をして過ごしてる。

共に働く、柄本さん演じるタカシは隅々まで丁寧にこなす平山さんとは相反して、適当に仕事を終わらせガールズバーの女の子と仲良くなることばかり考えていて、お金を工面するために職場の先輩が所持するカセットテープを売ろうと唆すような男だけど、何だか憎めない。柄本さんの演技はやっぱり自然で凄い役者さんだなと思った。

ガールズバーの女の子、アヤが車の中でカセットテープの音好きと言ったときに平山さんが微かに嬉しそうなとこも印象に残ってる。
同じ価値観を持った人に出会えるのは嬉しいからね。

清掃中に人が入ってきたとき、一回一回作業が中断されて面倒に感じると思うのに平山さんは草木を見上げて嬉しそうな顔をする。自分には出来ないことだからあの場面は忘れられない。

スナックのママで石川さゆりさんが出てきたのはビックリした。ママの元旦那さんと平山さんが橋の下でタバコを吸って2人ともむせるシーンは良いなと思った。元旦那さんが言った『何も知らずに終わっていくんだなぁ』のセリフはとても心に効いた。知らない事ばかりで自分がいつも感じてることだから。
影踏みをするシーンで『影が重なると濃くなるのか』を試して変わらないと言う元旦那さんに対し、平山さんが頑なに『濃くなってる』『何も変わらないなんてそんな馬鹿なことあってたまるか』と力説した部分は、この映画の中で初めての、平山さん自身の心の声な気がした。

平山さんが銭湯や地下居酒屋、スナックに行くと皆が『平山さん平山さん』と話しかけていて、たとえ深い会話をしなくてもその場所に顔を出して軽い挨拶とかをするだけでも人との繋がりは作られていってそれが日常において大切なものになる。平山さん自身もそんな皆に会いに行くっていう目的もあるんだろうなと考えると温かい気持ちになった。

家出をして平山さんの日常を一緒に過ごした
ニコがこれからどんな考えを持って成長するのかも気になる。

ラストシーンは凄かった。言葉も無いし平山さんの表情のみだけど、過去の記憶、家族関係、周りの人たちとの関わり、喜び悲しみが混ざり合った涙なんだろうなと考えた。

自分にとっては慣れた毎日でも、自分が平山さんの毎日を素敵だなと感じたように、他の人から見たら新鮮で素敵だと思ってもらえるかもしれない。毎日をしっかり生きようと思えました。
たいよう

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