鯖寿司

落下の解剖学の鯖寿司のネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

タイトルやポスター諸々の宣材でフーダニット系のミステリ映画なのかと思って見に行ったので盛大に肩透かしを食らった。真相解明やそれに付随するカタルシスを期待しているなら見ない方がいい。それらは全く起こらないです。
パルムドールも獲ってるし考えさせられる系なことを事前に察するべきだった…。

ミステリかと思って見に行ったので、ひたすら続く淡々としたストーリーに乗りきれないまま終わってしまった。被告人に全く感情移入できなかったのもしんどさに拍車をかけた。その結果ホットなリーガルが登場するシーンだけテンションが爆上がりする不埒な観客になってしまった。

ミステリ映画だと思って見始めてしまったから微妙な気持ちになってしまったけれど、真実の解明ではなく事実を決めるための物語だというニュアンスを承知の上で見始めていたら面白いっていう感想になっていたのは分かるので余計に勿体なかった。
特に中盤に開示される事件前日の夫婦喧嘩のシーンは物語にもっと入り込んだ状態で見たかったと悔しくなるくらいよかった。
キャリアの断絶や家事育児の不均等を訴えるのが夫であり、再三の訴えにまともに耳を傾けてくれないからこそ声を荒げているだろう夫に「そんなヒステリーになるなよ笑」みたいな態度をとる上にそれっぽっちの負担でそんな偉そうなこと言う?という内容で逆ギレし始めた挙句暴力を振るうのが妻っていう、現代の多くのパターンとは真逆にしてあるところがすごく良かった。
鯖寿司

鯖寿司