一人旅

ドラキュラ/デメテル号最期の航海の一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
アンドレ・ウーヴレダル監督作。

英国の作家:ブラム・ストーカーによる1897年発表の怪奇小説「吸血鬼ドラキュラ」の内の第7章「デメテル号船長の航海日誌」を、『ジェーン・ドウの解剖』(2016)のノルウェーの鬼才アンドレ・ウーヴレダルが映画化したモンスターホラーの隠れた良作です。

19世紀末、東欧の港から英国ロンドンに向かう商船デメテル号の船上を舞台に、黒人医師の主人公:クレメンスら約10名の乗員が積荷の中に潜んでいた吸血鬼ドラキュラと熾烈な攻防を繰り広げていく様子を描いた密室シチュエーションのサバイバルホラーとなっています。

私たちが一般的にイメージする伯爵姿のドラキュラ像とは違って、本作では普通の人間とは明らかにビジュアルが異なる醜悪な魔物(モンスター)として描き出されているのが特徴です。神出鬼没なドラキュラによって船員が一人ずつ無残な死または吸血鬼としての闇の再生を遂げていく中、残された船員たちがドラキュラの息の根を止めるべく反撃に打って出るというサバイバルホラーとなっています。ドラキュラの既存イメージを覆す奇怪な風貌と超俊敏&超兇悪な一連の襲撃に本作が古典小説を原作とした正統なドラキュラ映画(しかも製作はユニバーサル)であることを忘れてしまいそうになりますが、船上という閉鎖的環境下で繰り広げられる船員vsドラキュラの壮絶な戦いがスリリング&恐怖感満点に活写されていますし、身長204cmのクリーチャー専門俳優:ハビエル・ボテットが神出鬼没なドラキュラを怪演しています。

蛇足)
英国上陸後の続編が観たい(主役は勿論クレメンス医師で)。
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