溌狩

仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインドの溌狩のレビュー・感想・評価

4.0
・キャラクターの歳の取り方も、物語もしみじみと「あぁ20年経ったんだな」と思える作品になっていた。2003年に一番強く光った少年少女たちが20年の時を経て普通の人間になって……という枯れた話ではあるけど、しっかりと『仮面ライダー555』だ。青春の後始末をしつつ、本編のテーマだった「差別」を更に掘り下げてもいて、2003年に見たファイズの世界に誠実な続編だった。ただの同窓会にもならず、20年経ったからできる話を作り、でもファンサービスも忘れない絶妙なバランス感覚。

・それはそれとして井上俊樹・田﨑監督・白倉Pと、『ドンブラザーズ』がなかったらこの作品も全然違うものになっていただろうなぁと感じる部分が多分にあり、そこでも20年の歳月を感じた。丸くなったというわけではなく、洗練された混沌が美しく編み込まれていて、もう他の誰にも真似できない特殊すぎる作劇が生み出されている。これまでも乾巧のその後を描く作品はいくつかあったけど、あの終わり方にできるのはやっぱりドンブラを経たこの3人だけだろうな。「夢の続き」は「現実」と「生活」だし、それならこの先も劇的な物語になろうがならなかろうが続いていくしかない。つくづくファイズは変な作品だし、変な番組だ。
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