同情は差別のもうひとつの顔
最近杉咲さんが発言して話題になったように
娯楽市場ではマイノリティがしばしば
マジョリティに消費されている気がする。
スポットを浴びるだとか目を向けられるだとか
よく考えてみれば何を偉そうにという話だ。
彼等はフィクションでなく存在しているのに。
そんなモヤモヤを巧みに逆手に取った本作
面白くない訳がない。
黒人に手を差し伸べる白人を楽しむのは
いつだって白人だったという痛烈な皮肉が
物語が盛り上がるにつれて鋭くなっていく。
彼の屈折する思いはどこにも届かないけれど
実は彼も黒人の中では特権階級にいる矛盾。
全員が全員わかったフリして突き進んだ作品は
アカデミー賞受賞を以て完成してのだと思う。
掘れば掘るほど自身の欺瞞と偏見を
知ることになる名作。
黒人というだけでドラマを求める白人社会と
本作に結局何が言いたいのかと言う観客は
詰まるところ同じなんだろうな