ひじりさんの映画レビュー・感想・評価

ひじり

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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

5.0

さすがにとんでもなく面白い。

ずっとおじさん達が話しているだけなのに
ゆっくり変化していく空気に目が離せない。

主義主張が異なる中、それぞれの正解を重んじながら同調していく様子は極めて歴史的で人間
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

3.6

あゝなんて愚かで愛しいわたしたち


ほぼ荒川アンダーザブリッジ。
なんなら本家実写より本質に近いまである。

前科者の山田と境界知能で苦労してきた島田。
とにかくムロツヨシの人間描写が凄まじく
役者
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.5

同情は差別のもうひとつの顔


最近杉咲さんが発言して話題になったように
娯楽市場ではマイノリティがしばしば
マジョリティに消費されている気がする。

スポットを浴びるだとか目を向けられるだとか
よく
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

5.0

世紀の名作

人生は短く見れば悲劇だが長く見れば喜劇とは
よく言ったものだ

さまざまに描かれる人の欲と生活。
創始から見つめる天使の眼差しが
物珍しくてなかなかに面白い。

欲望こそが人間らしさなの
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ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

-

久々のギブアップ

観客への挑戦があまりにも理不尽すぎる。
シンプルに不快で意味深なシーンが多く
意識を逸らさないと見ていられなかった。

特殊能力で始まる筋書きは面白そうだったのに

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.8

アルコールで人生の青春を取り戻そうとした
哀れな男たちの酔いどれ喜劇


ほろ酔い状態であれば、人は幸福になれるのか
そんな実験をついつい始めてみれば
陽気で勝気な雰囲気はなんだか良い調子を運んできて
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

ちょっと生まれ方だけ間違えた一人間の成長譚


出てくる男たちがみな碌でもなく愚かしく
現れる女たちがみな強かで美しかった。

セックスシーンが描かれる度に
男らしさを剥がれた男たちの弱さが映る。
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セルラー(2004年製作の映画)

4.0

大人版ホームアローンって感じ。

なにかと展開早いし演出も凝ってて
一つ一つ無駄がなく回収していくから
予想外にめちゃくちゃ面白かった。

あまりにてんこ盛りで全然先が読めなかった。
白か黒かわからな
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バービー(2023年製作の映画)

4.0

フェミニズムに見せかけたヒューマニズム

男性の間抜けっぷりが目新しいように見えて
これは長年ハリウッドが面白おかしくやっていたブロンドジョークの男版。
なんならそれよりもはるかに優しい。

この映画
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スマイル(2022年製作の映画)

3.3

アイデア一発勝負で広告がピーク

なんでもありな展開なので中盤までそこそこ面白かったのに死のタイムリミットが迫ってきてからひたすら幻覚との戦いになってしまったのが残念。
騙し方はイットフォローズの方が
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よこがお(2019年製作の映画)

3.0

そこにずっとあったのに見ていなかったもの

加害者家族の立ち位置やら保身やら
マスコミや世間の態度の変わりよう

家族や親戚の罪は連帯責任なんだろうか。
それは環境至上主義か血統主義か、
どちらにせよ
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リトル・ジョー(2019年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

不気味な雰囲気のまま恐る恐る進んでたら
不気味な雰囲気のままトンネルを抜けてしまった

植物ホラーという異色さが魅力的だったけど
思ったよりも予想通りに進んでいき
考えうる最悪をオールクリアして終わる
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PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

3.6

ちょっと危ない子豚ちゃんの成長譚

良い意味でフライヤー詐欺だった。

ちょっと冴えない田舎町
すぐに広まる噂話
友だちより私は太ってて
高齢の両親は肉屋を営んでる

これ以上なく虐められやすい環境で
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サベージ・キラー(2013年製作の映画)

3.0

B級とんでもオカルトスプラッタ

それを踏まえてみれば最高傑作でしかない
よくあるレイプリベンジに民族性とオカルトを
組み合わせて好き勝手してみました!って感じ

めちゃくちゃギャグでおもろいんだけど
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RBG 最強の85才(2018年製作の映画)

4.5

「淑女であれ、自立せよ」
不屈の魂で戦い続けた等身大のヒーロー譚

とにかくどのエピソードもいまでは考えられない不当なものばかりで、そう思えることに尚更彼女の功績を計らずも思い知ってしまった。

世界
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バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

5.0

だれかとご飯が食べたくなる不朽の名作

だれかと食卓を囲むこと
昔話に花を咲かせること
乾杯できる誰かがいること

美味しいという言葉を使わずに
ここまで美味しいと伝えられた映画は初めて。

清貧に暮
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.0

トンデモ日本がたくさん詰め込まれていて
日本人ならとっても楽しい。
ツッコミ続けるので疲れてしまうくらい。

ただすごく忠実に再現してくれているために
日本のコミカルさと洋画でしかない絵面が
ミスマッ
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ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

3.6

出オチ映画かと思ったら癖になっていく
トンデモ人間が一番怖い系ホラー

ポスターで食いついた人間が見たいもの
全部見せてくれる。潔くて良い。

めちゃくちゃブラックコメディなのに
草食動物うまいもんな
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非常宣言(2020年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

韓国映画は本当人間描くのがバリ巧い。

こんなん号泣するしかないのだけど
良く考えたら穴だらけのプロットで
改めて見せ方の上手さに感心させられる。

サイコパス認定の犯人がちょっとサイコパス演じにいっ
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ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)

3.6

テロ事件を被害者の一人称視点で映像化する
これ以上恐ろしい作品の作り方はないと思う。

平穏から一転する空気感も
何が起きてるかわからないパニックも
偶然隣が死んで自分が生き残る恐怖も
徹頭徹尾再現さ
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ゴーストシップ(2002年製作の映画)

3.5

あまりにも最悪のタイタニック号

王道展開とストレートなホラー描写なのに
根底にある筋書きが風変わりで面白かった。
最高の幕開けから最悪のラストまで素晴らしい

少し考えれば気付いたらはずの違和感が
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

5.0

本当に私はあなたが好きです監督。

ウェス・アンダーソンらしい
ポップな色調に寓話的な演出で
目まぐるしく変わっていくページが楽しい。

雑誌に見立ててすべて具現化したら、
なんて誰が思いつくというん
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.3

虚構も真実も等しく尊くどうでもいい

これは映画的でありつつも演劇的で狡い。
劇中劇を前提とすることで
全ての屁理屈を説き伏せてくる。

You can’t wake up,if you don’t
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アンテベラム(2020年製作の映画)

3.8

唯一無二のタイムパラドックススリラー

“過去は死なない 過ぎ去りさえしない”

本当に驚いた。
と同時にこのトリックに引っ掻かれてしまう
自分にちょっと失望もした。非常に皮肉的。

実際にもしかした
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セブン・シスターズ(2017年製作の映画)

4.0

設定大勝利の隠れたSF名作

まず一人っ子政策の近未来で七つ子誕生が
絶望感マシマシで面白い。

そこを必死に隠し通してきた回想も良いし
何よりもサラッと別人に見える俳優が凄い。
本当に良く似た7人が
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カット/オフ(2018年製作の映画)

2.8

びえ〜ん無理が多すぎるよ〜

凄く引き込まれる設定かつ構成なのに
あらすじ進めるための色んな動機づけが雑で
全体的に何でそうなった??が多すぎる。

親の愛にしても子への罪悪感にしても
ちょっとキャラ
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ガール・イン・ザ・ミラー(2018年製作の映画)

3.0

耽美で静かで抑揚のない謎ホラー

ちょっと期待しすぎた気がする。
明らかに美人なのにブスといじめられてるのも他人から無視されてるのもよく分からない。
性格も別に難がなく設定と見え方に齟齬がある。

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カーター(2022年製作の映画)

2.8

アクションの大食いチャレンジ

こんなにアクション好きなのに
あればあるだけいいってもんじゃないんだな。
ツッコミどころ満載のトンデモアクションは
嫌いじゃないがこうも続くと緊迫感に欠ける。

物語も
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ザ・コール(2020年製作の映画)

3.0

ツッコミどころ満載のサイコホラー

過去と繋がる電話をテーマに
過去に生きる少女と今に生きる少女が出会う。

過去を変えることで今が変わるあらすじや
今からは過去にアクセスできない不条理性が
サイコホ
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ハイ・ライフ(2018年製作の映画)

2.8

眠れない夜におすすめ。
ただ道徳やモラルはない。

一分間タイムマシン(2014年製作の映画)

4.0

かの有名などこでもドア理論

人が時を戻せる時には必ずどこかに綻びがある
背筋が凍るような恐ろしいカラクリを
ユーモアたっぷりに描いたショートの名作。

こういうの、大好きだ。

BECKY ベッキー(2020年製作の映画)

3.4

とんでも凶暴少女ベッキーによる
グロ描写てんこ盛りホームアローン

物語冒頭から両親の視野の狭さや不誠実さに
やや閉口してしまうのでベッキーへの同情から
始まっていく。
とはいえベッキーの本性の片鱗は
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マッチスティック・メン(2003年製作の映画)

3.3

古き良き古典名作的どんでん返しミステリー

しがない詐欺師の主人公が、
元奥さんが身籠ったまま別れてしまった
娘との再会を経て再び生気付いていく
愛の再生ストーリー

このあらすじが合っていないし合っ
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ノーウェア:漂流(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ワンシチュエーションサバイバル歴代トップ

よくある有り得ない系サバイバルかと思ったら
なかなかに悲惨で生々しい始まり方に
スペイン産の意味を知ります。

全体的にやってくる最悪続きの受難もリアルで
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