人気漫画のストレートな実写化ばかりではなく。過去作の殆どが映像化されている押見修造氏の名を冠してはいるが、本作では原作者ではなくキャラクターデザインという形での参加。
そういうアプローチがあったかと。結局は他人様の原作をお借りするだけでオリジナルが弱いという邦画の悪しき慣習を打ち砕く一手。逆にオリジナル企画に参加してもらうと。下賤な言い方すれば人気作家のネームバリューをお借りする企画。
もともと内藤監督と押見先生の関係性あったればこそなんだけど。映像化に協力的な作家さんも多いので他でもこのアプローチを実践できるのでは。スピンオフの漫画もあって映画を軸に拡がっているのが良いなと。映画界と出版業界もっと持ちつ持たれつの関係性が築けたら。
脚本で描かれたものをキャラクターとしてビジュアルで体現してもらうと。とても面白い。そこからより作品として拡がるものもあるだろうし掴みとしてもバッチリだものな。実際、自分は押見先生の描いたビジュアルからこの映画に惹かれた。
一色触発になりそうな複雑な事情が垣間見えるが、現状では幸せそうに見える家族。だが作風からいって“毒娘”たる異物が入り込むことによって不穏が入り込んでくるのだろう……うわぁ嫌だ嫌だと分かっていながら先を観たくない感じ。序盤は何気ない日常しか描かれないにも関わらず、突如とんでもないもんが放り込まれるのではと気が気でない。
それを煽るかの様に……これまた日常を描写しているだけなのに心理的不安を駆立てる、とあるシチュエーションからの“ちーちゃん”とのファーストコンタクト！上手い。また冒頭にきっちりと掴みも入れるのが批評性とエンタメを両立する内藤監督らしいところ。無くても良いんだけど。
『ミスミソウ』と比べ直接的にショッキングな描写は抑え目だが現代社会を煮詰めた毒っ気は中々エグい。こうはならない契機も沢山あったのだろうなと色々見えるのもまた意地悪い。ちーちゃんの存在が最も特徴的だがやや寓話的。
榊英雄の煽りを喰ったせいで主演作が潰されてしまった佐津川愛美。まぁアレは致し方ないにせよ改めて魅力的な主演作に巡り会えて良かった。でもどっちかというとメインは植原星空と伊札姫奈の若手2人か。
あとこの作品に対しての文句ではないんだが……このFilmarksのデータベースとしての精度はもう少しどうにかならんものか。過去作はともかく、現状公開されている作品のキャスト欄くらいはトップから3〜4人とか最低見栄えのする程度ではなくてポスターに明示されている全員くらいは網羅しておくれ。
キャストから検索かけられる様にもなってるんだからもうちょっと頑張って貰わないと。完全手動なの？人員足りないの？今やネットに基本的な情報網羅されてるんだからなぁ。本作の若手の新生として凛美もプッシュされているのに彼女の登録がないのは可哀想……。最初に登録されてから公開までにもけっこう時間あったろう。課金以降もその辺り強化されていかないのよなぁ。サービスは求めないから基本的なところをしっかりして欲しいよ。
