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マンマ・ローマの一人旅のレビュー・感想・評価

マンマ・ローマ(1962年製作の映画)
5.0
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督作。

元娼婦の母親と一人息子の関わりを描いたドラマ。

イタリアの鬼才:ピエル・パオロ・パゾリーニが長編デビュー作『アッカトーネ』(61)の翌年に撮った母子物の佳作で、『無防備都市』(45)や『ベリッシマ』(51)のアンナ・マニャーニが息子想いの母親を熱演しています。

貧困層に身を置く母子を描いたシビアな人間ドラマであり、元娼婦の母親と職もなく遊んでばかりの一人息子の関係性を描いています。母親は息子のために仕事を探してあげたり、シングルマザーに夢中になる息子を彼女から引き離そうとする等、何かにつけて息子のためを想った行動を起こしますが、それでも、息子の本質的な部分までは変えることができず、せっかく始めた仕事もすぐに辞めてしまいますし、金欠のため悪友と窃盗を働く等して息子は自滅への道を突き進んでいきます。

元娼婦という穢れた過去を乗り越えて果物屋として全うに働き始めた母親と、母親からの愛情を一身に受けながらも貧困の泥沼に自ら嵌り込んでいく一人息子の関わりと悲痛な末路を描いた母子ドラマで、息子を強く想う母親を演じたアンナ・マニャーニの報われない愛情に胸が締めつけられます。
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