このレビューはネタバレを含みます
本作は今年で20周年を迎えるらしい。ソフィア・コッポラ監督第二作目
https://amass.jp/169626/
スカーレット・ヨハンソン21才の魅力をあざといまでに、よく引き出しているところは流石にソフィア作品。「スカーレットはここのラインがきれいなのよ」とか言いながら撮っているかのようだ。
そのおかげで男性諸君は最後まで集中出来るというもの
まだ2000年あたりの東京なので、外国人観光客も多くない。本作でも東京は「賑やかなようでいて奇妙で空疎な街」といった描かれ方をしている。まあ、正直なところそんなものと思う。
とにかくボブ(ビル・マーレイ)とシャーロット二人の間合いがいい。あんなにいい間合いなら“I LOVE YOU”と思わず言ってしまいそうではないか。
ボブはシャーロットを自分のモノにするタイミングはいくらでもあったろうに、無防備・無垢に彼に身を預ける彼女はだからこそ、そうはできない。
それでいて、バー専属ヴォーカリストの女性とは簡単に一夜をともにしてしまう。ここで、むしろシャーロットは特別で、心から大切にしている事が伝わってくる。
結婚25年のよきベテラン俳優の亭主と、ついこの間まで学生だった若妻、本国の地で出会ったならそうはならない二人が、東洋の異国がゆえに足が地に着かない。どこか夢うつつさがあるTOKYOという場所だからこそ良い時間を過ごせた——という映画。こういう“恋愛未満”の世界もいい。
個人的にツボだったのはカラオケに連れて来られたボブがなぜか、歌い出しからファルセットで超上級者向けなROXY MUSICの“More Than This”をリクエストしてしまい、期待通り野太い声で撃沈する場面。
使用される楽曲が全てCool。ソフィア作品の特徴でもあるが、タクシーで鉄橋に差し掛かるカーブでのマイブラも効果的だと思った。
ただ肝心なのは今回観た感想では「2000年頃の東京を2023年に観るからいい」のだなとは思った。
クラブの場面で藤原ヒロシがカメオ出演していたが、妙にダサく見えた。
エンドロールで流れるはっぴいえんどの「風をあつめて」は、よくわからないまま採用したっぽいので、私は評価しません。