大道幸之丞

ブロンドの恋の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ブロンドの恋(1965年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ミロシュ・フォアマンの初監督作品。
「ザ・ディレクターズ ミロス・フォアマン」によると、深夜に大きなカバンを持ってバスを持つブロンド少女がいて「なぜこんな深夜にバスを待つことになったのだろう」という所感が着想の元だったという。

けっして起承転結がハッキリあり、メッセージを感じる作品ではない。

製靴工場で働く少女アンドゥラはやや奔放な恋をしがちで(逆に言えばピュア)若い雇われピアニストと一晩ベットをともにし、おそらくいつも悪気なく言っているのであろう「今度家に遊びに来てよ」との言葉を真に受けて、深夜のバスに乗り込んで、彼の実家に夜半に訪ねるが息子との距離さえある両親は困惑し母親はあからさまに冷たく対応する。そこに彼も帰って来る。

製靴工場の地元では独身女性が多い事から付近に駐留する兵士と工場勤務の女性とのパーティーを工場長は軍と話し合い開催するも、首尾よくいかない。というかアンドゥラは地元にも男性がいる様子で奔放だ。ともかく冒頭にあるように、「どんな恋をしてきたか」をあとから思い出して語れることも幸福のひとつなのかしれない。

「尻軽女」の一言でアンドゥラを片付ける事も出来るがフォアマンはそんな結論付けはしない。それは彼女の「生」に敬意を向けて認めているからなのかもしれない。

そして最後には行きがかり上、またしても夜半にスーツケースを伴うバスを待つアンドゥラを映す。

――そんなような映画と感じました。有名な女優が出ているわけではなく、しかしその分登場人物が「生身の女性」に感じられて、自分にとっては心のどこかに留まり続ける作品だと思う。