ナンデヤネン

夜叉のナンデヤネンのレビュー・感想・評価

夜叉(1985年製作の映画)
3.7
無口な男を高倉健が演じたらなぜこんなに格好いいのか。自分もこんな風に年をとっていけたらとつくづく思う。そこにいるだけで存在感があるというか。例えば啓太と初めて蛍に行った時。カウンターに座ってほとんど喋らないんだけど強烈なオーラを放っている。雪の降る中、バス停で黒のロングコートを着て佇んでいる姿にしびれてしまう。ファンとして男としての格好良さ、生き様を堪能させてもらった。ただ、沢山の任侠映画で演じてきた役柄からすると本作はちょっと違和感もあって、奥さんを裏切って欲しくなかった。高倉健にベッドシーンは似合わない。それにミナミ時代のファッションがキザ過ぎる。オープニングの真っ白なスーツや組長の射殺場面とか。リアリティに欠けててヤクザらしくなかった。
包丁を振り回すビートたけしの狂気は言わずもがな。本当にいそうで怖い。それに修治の舎弟、トシオを演じた小林稔侍がいい意味でクセのある芝居で良かった。トレンチコートを羽織ってスナック菓子を頬張っているところとか。渡世の義理で修治を裏切らねばならない流れは下っ端ヤクザの悲哀を感じる。
ヒデオからの手紙。「青春は、素晴らしいと思いました。」ナンシー・ウィルソンの主題歌にのって流れるエンドロールは大好き。
ナンデヤネン

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