一言でいえば「ザ・ラテン系!」これにつきる。
たとえばオープニングで港に船が入ってくるんだけど、その船の乗客全員がいきなり皆サンバで踊り狂っていて、そのまま陸に上がってくるという。
カップルが結婚指輪購入の件で生々しくもめたあげく、よくわからないテキトーな話し合いでなぜか納得して、次の瞬間には腕組んで二人で踊り歩くとか、わらえるんだけど、妙にリアルな躍動感みたいなものがすごくて、ちょっとほかに見たことのない世界観に正直感動している。
50年代末のはずなのにカラー映像がすごく美しく、パンディロとかみんなカジュアルにたたきまくっているし、音楽そのものとその扱いが白眉なのがとても嬉しかった。
ボロボロの住まい、穴の空いた服、華やかなカーニバルに彩られた高層ビルの街、活発に動き回る人間たち、美人たち、ギター、からっとした陽光の風景。
ストーリーは単純なのだけど、見ていてスカスカ感がなく、最後まで引きつけられるように見てしまうのは、映像とカットの説得力、得体の知れないエネルギーのせいだと思う。
この映画、国際的に高評価であるにもかかわらず、本国ブラジルではそれほどウケていないとか。
なんでも原作者のヴィニシウス・ジ・モライスが描きだしたブラジルやファベーラ(南米におけるスラム街のようなもの)の本質が全く活かされていないなどがその原因だそうだ。
ボサノバの生みの親で、詩人で外交官でもあった偉人、ヴィニシウスや、80年代以降くらいだろうか、入ったら生きて出られないと言われている恐ろしいファベーラについては、長くなるので割愛。
どちらも僕にはとても興味深いものだったので、検索してみたらきっといいとおもう〜。