このレビューはネタバレを含みます
アメリカ西部開拓時代に、熊と戦い重傷を負うも、1人で生還した実在の人物を描いた映画という事で興味をひかれ観てみました。
荘厳かつ美しい大自然のランドスケープの中、かつての美男子アイドル、レオナルド・ディカプリオがとにかくひたすら、とんでもなく酷い目に遭い続けて、グッチャグチャのグチャグチャになりながら、しぶとく生き続ける。
重い傷を全身に受けたまま、這い進み、その辺に落ちてる動物の死骸の骨に残った肉片の様な何かや枯れ枝の様なものをモグモグしたり、馬の死骸の内臓を取り出し、死体の中に潜って暖をとり雪の夜をやり過ごしたり。
穴が空き水も飲めなくなった喉の傷を防ぐために、火薬を喉に詰めて発火させ、溶接する様に傷を塞ぎ、水を飲める状態にしたり。
それらの映像描写はスタイリッシュかつリアルかつスリリングです。
「あ、こういう時は、こういう対処をするんだ。凄い知恵だな」なんて感心する事しきりだったりも。
なんというか、見ていてフワッと慄きつつ面白いですね。ここを楽しめるかどうかで、この映画の印象はだいぶ変わってくるかもしれません。
ちょっと異色の旅映画とも言えますし、もちろんウエスタン物でもありますし、サバイバル映画でもあり、スピリチュアル要素もあり、家族の物語でもあり、復讐劇でもあり。
実はこの映画にはあらゆる要素が凝縮されているんです。
怪物の様な生命力と手練れのサバイバル能力を発揮して生還するまでが、一番の見所だと思いました。
子連れの荒ぶるグリズリーと格闘して、倒す、壮絶な場面は実話だそうですが、映画での迫力がすごいのは流石です。
のしかかってくる熊が謎に攻撃の手を止めてただフーフー呼吸してる瞬間には獣の匂いがこちらまで漂ってくるかの様でした。
もっと小型の動物園にいる様なクマでも、簡単に人の骨を剥き出しにさせる様な破壊力を持つので、グリズリー相手に死ななかっただけでなく、最終的に這ってでも1人で数百キロ移動していくのは、超人的だと思う。
ここら辺は実話と作品の脚色への感想ですね。
小さなクマでもどれだけ恐ろしい破壊力なのか?は映画「ブラックフット」(メッチャ怖い映画です汗)で鮮烈に描かれているので、それを見るとよりイメージがしやすいかもしれません。
この映画には、自分の普段の生活の中の価値観をちょっと変えるくらいのインパクトがあります。人間てそんな力があるんだなと。
自分自身の中にある力を、もう少し信じて上げようと思える様な、そんな何かをくれる、ある意味では気持ちの良い傑作ではないでしょうか♪