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ザ・グレイ 凍える太陽のふみたけFUMITAKEのレビュー・感想・評価

ザ・グレイ 凍える太陽(2012年製作の映画)
3.9
アンソニー・ホプキンスが出ていた「ザ・ワイルド」を連想させるけど、絶望感や見せ所ふくめ、本質的にはまったく異なる映画。安易な希望など全く示さず、一人づつ生存者が無残に力尽きて行くごとに、ただただ人間の無力さをつきつける。そうした圧倒的な孤立感の中でそれでも目の前の脅威に否応無く向かい合い、ジョークを交わし、愛するものへの思いは迸る。そこでは詩が、シンプルで短い、その言葉だけというカタチがとても重要なものになっていて興味深い。ポエジーは孤独な静謐さのなかで生まれると思うが、舞台となるアラスカでの彼らの状況はまさにそれそのものの極地ではないだろうか。リーアム・ニーソンの目にはすべてを物語る何かがある。渋い演技がひかる、渋くて胸を打つ映画。