T太郎

エグザムのT太郎のレビュー・感想・評価

エグザム(2009年製作の映画)
3.7
920
ソリなんとかスリラーとかいうやつだ。
ただし、グロさは全くない。
ホラーではなくミステリーだからだ。
グロいの苦手だよ~って人も安心して観ていただけるだろう。

物語はある試験会場の一室で展開される。
そこに集められた8人の男女。
ある企業の採用試験のようだ。

それぞれの机の上には試験用紙と鉛筆一本のみが置かれている。

まず、試験官からの訓示や注意事項などがある。
ここは面倒くさいけど、一通り紹介しておく必要があるだろう。(こらこら)

試験時間は80分。
質問は一つ、答えも一つ。

試験場内では法律は通用しない。

試験官と警備員に話しかけたらアウト。
自分の試験用紙を損なうとアウト。
退室を選択したらアウト。
スリーアウトではなく、ワンアウトでゲームセットである。

法律が通用しないって何?
非常に不穏な条項ではないか。
とても真っ当な試験とは思えない。

う~む、先が気になる出だしだ。
面白そうな臭いがプンプンすっぞ。
オラ、わくわくすっぞ。

以上、何か質問は?

無いようなので先に進むが、ピリピリとした雰囲気の中、電光掲示板がカウントダウンを始める。
80分の最終試験が開始されたのだ。

受験者たちは一斉に試験用紙を裏返す。
一体、どんな問題が?
!!!!
何っ!
問題が・・・ない!
白紙だ。
どういう事だ。
おちょくってんのか!
受験者たちはしばし途方に暮れるのであった。

そう、この試験はまず質問が何なのかを突き止めなければならないのだ。

受験者たちは協力して、様々な仮説を立てては試していく。
だが、どれも上手くいかない。

やがて、受験者同士の対立や不信感が表面化し・・・

この試験で採用されるのは1名だけだ。
8人のうち、最終的に採用されるのは誰なのか!
そこが見どころの一つだが、そこに至る過程も非常に面白い。

この過程で登場人物のキャラクターは十二分に把握できるのでご安心願いたい。

こいつ嫌いや!
この人好っきやわ~。
感情移入好きな方も誰かしらお気に入りのキャラクターを見いだす事ができるだろう。

私はまず、受験番号2番の中国人女性に目をつけた。
なぜなら可愛いかったからだ。

しかし、彼女は開始5分も経たずに退場してしまった。
えっ、これで見納め!
なぜ?
ホワ~イ?

彼女は試験用紙に文字を記入してしまったのだ。
そう、試験用紙を損なってしまったのである。

    以下、ほんのりネタバレ

鋭敏な私はここで即座に理解した。
冒頭の試験官の言葉には裏があるのだ。
これは筆記試験ではない。

思い出して欲しい。
“法律は通用しない”という不穏な言葉。

バトルロワイヤルだ!
最後はみんなでバトルロワイヤルなのだ。
そんでもって、最後まで生き残っていた者が勝者となるのだ!
そうだ、そうに違いない!

ある意味当たっていたが、大枠ではハズレであった。
最終的には誰も死んでいないのだ。

ラストはまさかのハッピーエンド。
もっとダークな展開を期待していたのだが、何とも爽やかな終わり方だ。
そこだけがやや不満と言える。

ミステリーがお好きな方は是非とも観ていただきたい。
T太郎

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