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バットマン ビギンズのボブおじさんのレビュー・感想・評価

バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)
4.1
映画は監督によって全く違う作品になる。当たり前の話だが、映画のバットマンシリーズを見るとそのことがより鮮明に理解できる。

これまで何度も映画化されてきたバットマンだが、自分の中ではティム・バートン監督のマイケル・キートン版バットマンのファンタジックでどこか漫画的な世界観が好きだった。中でも「バットマン リターンズ」は、クリスマスの時期になると必ず見たくなる名作だ。

クリストファー・ノーラン監督が手がけたこの映画はバートン版バットマンと比べ、よりダークでリアルな世界観で作られている。バットマン自身の心の闇を描いているところも、これまでのバットマンと一味違うところである。

題名の通りバットマンがいかにして誕生したかを描いた本作だが、バットマン役は、当初ヒース・レジャーを予定していたらしいが、本人が辞退したことによりオーディションでクリスチャン・ベイルが演じることに。

もともと役作りに定評のある役者だが、ノーラン監督の描き出すダークでシリアスな世界観を見事に演じている。なお、このオーディションは、ベイルの他にジェイク・ギレンホールやキリアン・マーフィなども受けていたとのことだ。

日本では「ラスト サムライ」でハリウッドデビューした渡辺謙が出ていることでも話題となったが、アジア奥地の謎の忍者組織には、多少違和感を感じてしまう😅

バットマンが誕生するきっかけが、自分のせいで両親が死んだことへの罪悪感と怒り、そして犯人への復讐心というのもダークでいい。

また、舞台となるゴッサムシティの廃れた近未来感やこだわりのガジェットなどもいかにもノーラン作品という感じがする😊

欠点としてはバートン版と比べてヴィランの個性が弱いことか。リーアム・ニーソンが演じたデュカードは鍛えられているとはいえ、生身の人間だし、キリアン・マーフィのスケアクロウもリアルではあるが、線が細く恐ろしさに欠ける。

ノーラン自身もそのことを感じていたのか、次回作「ダークナイト」では、とっておきのヴィランが登場するのだが、それはまた別の話😊


〈余談ですが〉
劇場公開以来19年ぶりの鑑賞だったが、
内容は意外と覚えていた。だが、リーアム・ニーソン、渡辺謙、ゲイリー・オールドマン、ルトガー・ハウアー、ケイティ・ホームズらのビッグネームの陰で、ひっそりと頑張っていたスケアクロウ役のキリアン・マーフィの事はすっかり忘れていた😅

この映画は、あくまでもバットマンの誕生秘話なので、主役は当然バットマン。ヴィランの出番は過去のどのバットマン映画よりも少なかった。

今回はアカデミー賞主演男優賞を受賞したキリアン・マーフィに注目して観ていたので印象に残っているが、まだ無名だった当時に、これだけのスター俳優に囲まれて出ていたら影が薄くなってもやむなしか😅

それでも神経質そうなインテリのヴィランを繊細に演じており、この役でノーラン監督の信頼を勝ち得た事は理解できた。

考えてみれば過去のバットマンシリーズでヴィランを演じたのはのジャック・ニコルソン、ダニー・デイヴィッド、ジム・キャリー、トミー・リー・ジョーンズ、アーノルド・シュワルツェネッガーと大物ばかり。

そんな中、まだ駆け出しだったキリアンがヴィランを演じたこと自体が大抜擢だったとも言える。