ジミーT

8 1/2のジミーTのネタバレレビュー・内容・結末

8 1/2(1963年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

未鑑賞ン十年。非常にハードルが高い映画だったんです。私より一回りくらい年上の、髪の長い気難しい中年男が、文化人が集まるようなバーでハイボール片手に論じてそうな映画。間違ってそんなバーに迷い込んだらもう大変。「ハチトニブンノイチ」なんて言おうもんなら頭ごなしに軽蔑されそう(注1)。
そんな映画だから機会があっても避けて通っていましたが、アマプラの見放題だったので、そんなバーに迷い込むつもりで勇気を出して観てみました。

正直言って、意味ふみこでした(注2)。
でもそんなこと言おうもんなら「シラケ世代だか何だか知らないが、最近の若いもんは問題意識がない!」と、文化人が集まるようなバーでハイボール片手にこの映画を論じてそうな私より一回りくらい年上の、髪の長い気難しい中年男に怒鳴られそうで怖いので、わかったふりしてスコア5.0。なにしろフェリーニ監督ですからね。

フェリーニ監督自身とおぼしき映画監督の夢と懊悩と幻覚を描いたものらしいのですが、映画監督の頭の中って、こんななってるのか?こんなことで現場を仕切れるのか?これがフェリーニなら、「黒澤明の8 1/2」なんてのも観てみたいぞと思ってたら、その名もずばり「夢」っていうのがあったな。そんなことを考えながら観ていました。

しかしたとえ意味ふみこではあっても、幻想と幻覚らしき連続が結構テンポよく展開するので寝落ちすることもなく魅入ってしまったのですが、おいおい、せっかく作った巨大セット壊しちゃうの?!「核戦争で荒廃した世界の生存者が宇宙船でノアの方舟計画」って凄く観たいぞ、その映画。なんかローランド・エメリッヒ監督が作りそうだが。「人生はお祭りだ」なんて言ってる場合か。映画完成させてくれよ!
なんて、その未完の映画を妄想してたら、幻想と幻覚の交錯の中で映画は突然終わる。
気合いを入れて鑑賞始めて、思わぬ出口から出てしまった、そんな映画体験でした。

注1
実体験ではありません。私個人の幻覚です。

注2
死語であるのはわかって使ってます。あしからず。

追伸1
マルチェロ・マストロヤンニは男も見惚れるセクシーさ、ダンディさでしたが、自伝的映画の主役にこのマストロヤンニとは、さすがフェリーニ。いい度胸してます。

追伸2
あのショートヘアに黒縁メガネが似合う女性、どストライクのタイプでして、とうぶん忘れられません。

追伸3
前半で突如ソフトバンクのCM音楽が流れたので驚いた。
1963年の映画でソフトバンク??と思って調べてみたら、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」の「葦笛の踊り」とかいう有名なクラシック音楽でした。
いや〜基礎教養がないってのはつらいなあ。
ジミーT

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