T太郎

ザ・フライのT太郎のレビュー・感想・評価

ザ・フライ(1986年製作の映画)
3.9
883
久しぶりに鑑賞した。
何回も観たような気がしていたのだが、そうでもなかったようだ。
後半はほとんど忘れていたのだ。

とても良かった。
切なくも気色の悪い物語である。
多少のグロさはあるが、まあ大丈夫だ。
面白いので、是非とも観ていただきたい。

主人公はセスという天才科学者だ。
彼はなんと、物質転送マシーンなる物を作り上げる。
実に画期的なマシーンだ。

ポッドAに入れた物質が、スイッチポンであっという間にポッドBに転送されるのだ。
Aで分子レベルまで分解し、Bで再結合するという仕組みらしい。

これは素晴らしい。
実用化されれば、我々の生活は激変するだろう。
一家に1台“どこでもドア”が有ると考えれば分かりやすいだろうか。

交通機関や自家用車を使わなくても一瞬で目的地に行ける。
事故や渋滞、混雑は減るだろうし、ガソリンなど資源の節約にもなるだろう。

ん、待てよ。
ゆくゆくは電気自動車が普及するだろうし、このマシーンも電気を使うのだ。
電力会社ばかりが儲かるような気がしてきた。
なんか腹立つ。

宅配便の需要が激減すると思われる。
物流の仕組みも変わるだろう。
ドライバー不足問題も一気に解決である。
万々歳だ。

今はこれぐらいしか思いつかないが、他にもたくさんの利点があるだろう。
是非とも普及していただきたいものである。

しかし、電力会社が儲かるのは、やはりなんか腹立つ。
(電力会社に恨みでもあるのか?)

おっと申し訳ない。
珍しく話しが脇道にそれたようだ。
(いつもやで)

セスは実験の最終段階で自らを転送する事に。
彼はしずしずとポッドAに入る。
果たして転送は成功するのか。
緊張の一瞬である。

スイッチ・・・ポン!

・・・ポッドBがまばゆい光を発し、おもむろに扉が開いていく。
あまり必要とは思えないが、スモークとともにセスが姿を現す。

やった、成功だ。
これで大儲けできるぞ。
電力会社ばかり儲けさせてたまるか。
と、セスが言ったとか言わなかったとか。
(言わなかった)

しかし、彼は気づいていなかった。
この時、ポッドAにハエが紛れ込んでいた事を・・・。

その結果、セスとハエは遺伝子レベルで融合してしまう。
セスでもなくハエでもない、特異な遺伝子を持つ生物に生まれ変わってしまったのだ。

果たしてセスの運命や如何に!

この作品はホラーだが、恋愛映画としての側面もある。
ヒロインがモンスターと化しつつある恋人と抱擁する場面があるのだが、実に切なくも悲しい場面なのである。

私だったらすぐ逃げるだろう。
私の心の恋人、エヴァ・グリーンがああなったとしても、逃げるだろう。

ごめんね、エヴァ。

キャストは、セス役がジェフ・ゴールドブラム、ヒロインはジーナ・デイビスだ。

ジェフはつい最近「ジュラシックパーク」を観たのであれだが、ジーナ・デイビスは実にお久しぶりだった。

懐かしさとともに彼女の魅力に改めて気づかされたのだ。
特に後半のジーナの演技が素晴らしい。

私はエヴァの事をしばし忘れ、ジーナに夢中になっていたのである。

ごめんね、エヴァ。
T太郎

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