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処女の泉のAixのレビュー・感想・評価

処女の泉(1960年製作の映画)
4.0
アカデミー外国語映画賞を受賞した世界一偉大な映画監督ことイングマールベルイマンの代表作の一つ。娘をレイプされた夫婦の話。

ゾッとするほどベルイマン。少年少女に対して当然の如く冷たく当たり、レイプ被害者を邪険に扱うどころか、異教徒の加害者に仕立て上げる残酷さ。スヴェンニクヴィストの撮影とライティングが神の不在、そして第七の封印と同じくこの世の終わりのような世界観を描き、愚かな人間の末路を強調していて素晴らしかったです。例によって可哀想な目に遭うヒロインの名前が、ベルイマンの母親から取られたカーリンであるのも彼の強大さを露骨に表現していたと思います。

ノースマンやライトハウスのロバートエガースはベルイマンをお気に入りの映画監督として挙げているけど、今作の不快感はウィッチにもかなり近く、中盤はホラーよりもホラーでした。神父が三男に説教をするシーンや、人間かも分からない醜いジジイがインゲリに迫る場面など、純粋に怖いし、一つ一つの演出の緊張感が凄かったです。これもひとえに、登場人物たちがベルイマンという神の手のひらに転がされているからこそのものであって、ただのリベンジムービーではないことがひしひしと伝わって来ました。

数多の映画に影響を与えた伝説的な今作がAmazon Prime(有料)で見れるようになったので、この機会にぜひ未鑑賞の人はチェックして欲しいです。因みに第七の封印と野いちごも見れちゃいます。アマプラ最高!!
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