ジョン・ナッシュというノーベル賞を受賞した一人の数学者の葛藤と栄光を描いた半伝記映画ではあるが、この作品は総じて、ジョンそして、妻のアリシアのジョンへの献身的な愛の姿が描かれた夫婦モノの映画と言っていいだろう。
ジョンを演じるラッセル・クロウの演技には、不器用だけど憎めず、そして自分に正直な人間を表現していて、そこから観客は彼を応援したくなっていく。
アリシアとの幸せな出会いから彼自身の苦しみと葛藤がこの映画の主軸となっていくのだが、そこには伏線がしっかりとあり、この映画の醍醐味がぎっしり詰まっている。終盤でのペンを贈呈するシーンは静かながら地味ではあるが、ここにこの映画のテーマが表れ感きわまるシーンである。
切ないシーンが大半を占めるからからこそ喜びや感動が一つのシーンで倍増させられる。
2回目、3回目と観るとまた違った視点から考えさせられる映画ではないだろうか。