A8

英国王のスピーチのA8のレビュー・感想・評価

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
3.7
絶対に交わるはずのない英国王と言語士
この2人の本当の友情と
英国王の知られざる心のうちを
描いたアカデミー賞作品。


アカデミー賞前日ということで
過去のアカデミー作品を観ることに。

もうこの作品が14年も前ということがまず驚き、、

当時の話題作だったことは知っていたが
あの頃は大して映画に興味もなく
激しいアクションもなければ
堅苦しそうな王族の物語ということもあり
スルーしていた。

時は経つのが早く
映画が自分の人生になくてはならない存在となったいま、当時のことを思い出しながら鑑賞した。


1番に感じたのは
コリンファースの圧倒的存在感。

吃音で苦しむという外見的に感じられる苦悩さだけではなく

王族で生きる苦悩やプレッシャーそして、トラウマ、、、それらの内面的な部分を繊細に表現されていた。


そして言語技士であり、友人の(友人になった)ライオネル。

王族相手でも
毅然として「対等な関係性ではなかったら治療できない」とプロフェッショナルさ、
愛情とユーモアを持ち合わせた彼の魅力は
バーティの心のうちを引き出させ
のちに友情を育むことになった。


主人公やライオネルの
目的“吃音を克服する”はもちろんの事

この同一目的に向かっていく上で
2人の間になんの壁も置かず
共に戦っていく戦友のような友情物語だった

そして、淡々と描かれていくようで
2人の心のうちをリアル且つ繊細に
浮き彫りにしていたのが印象的。

最後のスピーチ、、
イギリスが戦争に突入することを伝える
歴史的大役。

カメラアングルは
宮殿の放送室に行くまでが
ノーカットで映し出される。
大きな背中の後ろを
ライオネルと奥さんが続いて歩き
チャーチルや要人たちに激励される。
無駄な装飾や音楽などは設けず
“歩き”とその“オーラ”を
十二分に描きながら
その緊迫場面を素晴らしく描き出した。

奥さんもついに離れ
バーティとライオネルがいよいよ
放送室に入る。

窓を開け、さあランプがついて放送が始まる
前に立ちバーティを助けるライオネル
この2人のスピーチはいままでのストーリーを最高の結末としていく。

無駄がなく、ただリアルがそこにあった。



友人として
しかし、王として彼に接するライオネル
最後のバーティに目を合わせ頷く姿から
とても伝わった。
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